危険なふたり/北京平壌海棠花冷麺館訪問記

1.白い炎

 ここは今年(2003年)の1月3日に来たんだが、お休みで入れなかった。北朝鮮も中国も旧正月だし(北朝鮮にはもっと大事な日があるが)、お休みなんて想像してなかった私はショックに打ちひしがれてしまったが、仕方なく入った近所の韓国料理店の犬肉が美味しかったことと、偶然サムソンだかLGだかの北京支店で働いているという内モンゴル出身の朝鮮族と仲良くなれたのでまあそれなりに楽しい思いをしたものだ。

 前回は市内からタクシーで来たのだが、運転手が知らないと言うし、やたらグルグル回って辛かったのだが、今回はバスであっさりと来ることができた。地下鉄1号線「永安里」駅から120番バスで「新源里」へ。降りて前方に進んですぐの横断歩道を渡ると右側にある。「新源里」バス停からすぐの場所である。これならバスの方が来やすいな。帰りはタクシー拾ってもいいんだし。と、いうわけで前回のリベンジを果たすべくメラメラと炎は燃えたのであった。まずは名刺をどうぞ。

ここはカネかかってると思うよ。なぜかとゆーと、名刺の左上にお店のシンボルマークがあるでしょ。「H」の字が二つあるように見えるけど、これは海棠花の中国語の発音記号である「haidang hua」からとったものだろうきっと。

 夜の7時くらいに中に入るとほぼ満席で、一人で来た私が入るにはちょうどいい空間はなかったのだが、6人がけのテーブルにとりあえず案内された。呉という名の接待員同志にビールをチジミとイカ炒めを注文する(いつもこれだな)。

 ここはメニューにも気合入っていて、調理師の顔写真と共に「平壌高麗ホテル、羊角島ホテル、玉流館からやって来た調理師が本場の朝鮮料理をおつくりします。」という文書があり、さらに従業員の顔写真までメニューにある。

 そうこうしてっと男女の二人連れが入ってきて、私の向かいしか空いてなかったので当然そこに座った。相席である。男性は50歳くらい、女性は20代だと思った。いったいどういう関係なのだろうと思ったが、まあ詮索するようなことはしないが、でも女性は男性と話すときは朝鮮語だけど携帯では中国語なんで朝鮮族なんだろうな。とか、女性はそんなに可愛くないし、カラオケスナックのママ風でもないし、気なるっちゃあ気になる。でもまあ知らんぷりすることにした。

やがて接待員同志が注文を取りにやってくると、その男性は彼女の名札を見て

「おっ、あなた『ヘリム』さんっていうの?」
接待員同志が
「はい。そうです。」
答えると、
「ふ〜ん。ソン・ヘリムさん?」

接待員は何のことかわからぬようでボ〜ッ・・・。つまり「ソン・ヘリム」とは亡くなったとされる金正日総書記の最初の妻なのだが、接待員同志は本当に何のことだかわからなかったようである。これがコリアンオヤジジョークなのだろうか。

2.危険なふたり

う〜ん、またボケちゃったなあ。お皿に海棠花平壌冷麺館という文字と共に、ヘダンファマークが入っているんだが。(左画像)
店内の様子がちょっとでもわかれば(中央)
チジミ。真ん中のさくらんぼがおちゃめ(右画像)

 ここはかなり客が入っている。見たところ、韓国人観光客風の団体、地元駐在員家族らしき日本人もいた。偶然ここで会ったらしく、「ヨッ!!」なんてあいさつしてる人もいる。地下に個室があり、2階にも席がある。頻繁に2階から客が降りてきては出て行く。中にはバッジをつけた客もいる。

 あとでわかったのだが歌は地下で歌うんだそうだ。この日は結局接待員同志も忙しそうで、ゆっくりお話を聞くこともできず、ほとんど調査らしき調査もできなかった。

 で、さっきの危険は二人だが、韓国人らしき男性はいかにも精力ギンギンのコリアンオヤジ系風貌にも関わらず、酒を飲むでもなく、チジミをつまんだり、早々に冷麺を注文したりしている。女性に向かって「あした空港に送りに来い。」なんて行ってるな。ソウルに帰るんだろうか。まあそんなことはどうでもいいのだがついつい聞き耳を立ててしまうな。

  ここの最大の特徴はお持ち帰り用キムチを売ってるってことだ。私は北朝鮮のキムチは辛さが弱く、水分が多くてあまり好きではないのだが、やはり買ってしまった。キムチの他にメンタイ、メンタイの内臓といったお持ち帰り用食品が10〜20人民元程度で買える。

左から
・メンタイ
・メンタイの腸
・ヒラメを漬けたもの
なのだが、私のお勧めはメンタイの腸。歯ごたえがあってとってもおいしい。ご飯が何杯でも食べられる系の美味しさ。

それからほれ↓。蓋を真上から取ったもの。ヘダンファマークがハッキリわかるでしょ。

これが主力商品(多分)のヘダンファキムチ(海棠花泡菜)。う〜ん。キムチはやっぱり韓国、または延辺の方がいいなあ。しかしこの製品は包装がしっかりしているので、十分日本まで持って帰ることができる。でも翌日には発酵してパンパンに膨れてしまった。乳酸菌が生きてるねえ。よ〜く見ると「朝鮮正宗味道 提高免疫力、健美」と書かれているが、これは「SARS」を意識したのか?
タテ20センチ×ヨコ15センチ。

そしてもうひとつ。お持ち帰り用の袋。これはけっこうイケてるし、貴重かもしんない。

気づいたかもしれないが、お持ち帰り品については「海棠花食品」というブランド名なんだな。マークの横にある「R」印は登録商標?う〜んしっかりしている。タテ40センチ、ヨコ35センチ。

 今回の訪問は接待員調査の面から見ると今イチだったが、私の知る限りお持ち帰り用食品をしかも独自ブランドで売っているなんて北レスではここだけだ。カネもかかっているし客も入っている。また近いうちに調査に来たい。で、お約束の接待員写真。帰り際にレジにいた接待員同志にお願いしたもの。福々しいお顔ですね。でもあの二人組は何だったのか、やっぱり気になる。

最初に北京市内からの行き方を書いたが、永安里のバス停に着いたら前方を見ればこの明かりが見えるから簡単に行けるはず。

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3.悲しみにさよなら

(2003.9.1.訪問)