北京牡丹館新規開店報告/夢芝居

1.それってチョースゴくない!?

 わけあって、高校生の引率で北京に行くことになってしまった。約一週間の期間中、何度女子高生の「てゆっか」、「チョー」、「○○くない?」を聞いたことだろう。実は私は以前からコギャルしゃべりには興味を持っており、この機会に女子高生の輪の中に入って思いっきりコギャルしゃべりしてみたかったのだが、以降の団の運営に重大な支障をもたらすような気もしたので自重した。

 また男子高校生には「キミたちは、どんなグラビアアイドルで○○を××しているのかね?」と聞いてみたかったのだが、引率者という立場が根本から崩れ去るような立場に自らを追い込んでしまうような気もしたので、我慢した。

 それはともかく、高校生なんで原則夜は遅くない。かといってほっといて勝手に飲みに行くわけにもいかない。しかし最後の夜、オプションで高校生達が少林寺ショーだかを見に行くことになり、それには別の随行者が一緒に行ってくれることになった(ありがとやんす!!)そこで私は躊躇なく北レス取材に出かけることにしたわけである。

 北京在住韓国人用フリペ、「経済生活」。7月末にゲットしたそのフリペの4ページ目にその広告はあった。「北京の新しい名所、“牡丹宮殿”豪華な内装でオープン!!平壌宮殿料理。朝鮮接待員達、多彩な公演。」と書かれている。こりゃどう見ても北レス。以前「真夏の夜の夢」として紹介した「北京牡丹館」とは全く別である。


 これ↑がその広告。店名は、ハングルでは「牡丹宮殿」と書いてあるが、漢字では「牡丹館」になっている。でもそんなことは例によってケンチャナヨである。地図が見にくいと思うが、T字形道路の、下にクィッと曲がったあたりに「重慶飯店」の文字が見え、それを目印にタクシーの運転手さんに探してもらったのだ。到着するとおおおっ!!これはまぎれもない北レスっッス!!

2.夢芝居
  牡丹館だけあって、入り口の看板の真ん中に牡丹の花のマーク。なかなかにおしゃれである。そして緑でMのマーク。奇しくも米帝を代表する某ハンバーガーチェーンのマークを上から押しつぶしたような形である。これには米帝には決して屈しないという強い意志が・・・ないか。入り口にはチマチョゴリ姿の同志が(向かって右側の画像)。

あんでんだ「初めて来ました。名刺だけいただきたいんですが。」
同志「いいですよ。どうぞ。何枚要りますか?」
あんでんだ「う〜ん3枚もらおっかな。」
同志「お客様、今日はお食事はされないのですか?」
あんでんだ「もう食事済ませちゃったんですよ(高校生と水餃子食べたのだ)。」

同志「お客様はどちらからおいでになったのですか?」
あんでんだ「日本です。出張で来ているのです。」
同志「アイゴ!!朝鮮語お上手ですね。総連の方ですか?」←この質問は定番だな。
あんでんだ「いえ。フツーの日本人です。北レスが好きでこうしていろいろ回っているのですよ。ところで公演はありますか?」
同志「はい、ございます。私達の公演は楽しいですよ。」
あんでんだ「何時からですか?」
同志「7時半からです。」

このとき、なんと時刻は7時25分。公演の開始は7時半からだろうと思ってはいたんだが。

あんでんだ「あ、あと5分だね。」
同志「そうです。是非ご覧ください。」
あんでんだ「うーん。どうしよっかなー(どうして迷うんだってーの)。では簡単に食事とビールをいただきます。」

 出かけたときから公演見ようと心にカターく決めていたのに、どうしてこんな演技をしなきゃいかんのか自分でもよくわからんのだが、ともかく中に入ってビールとイカの辛し炒め(オジンオボックム)を注文。見たところ定員は100名程度か?中規模北レスだ。前方にはおそろいのTシャツ姿の若い韓国人グループが10名くらい座っていた。全体で半分程度の入り。ここで注文を取りに来た同志としばし歓談。

同志「お一人でいらっしゃたのすか?お客様。」←この質問も定番。
あんでんだ「そうです。すでに食事は済ませたのですが、公演を見たくて来たのです。」←最初からそー言え!!
同志「お客様はどちらからおいでになったのですか?」・・・・以下先ほどと同文。

 そういったわけで、6月に受検したハングル検定2級の結果がグダグダでかなり凹んでいたのだが、これでまた明るくなってしまった。ここ数年この繰り返しなんだが、オレって単純?

3.ペンとはファンのことである

 さて、公演であるがドラムにキーボード+ヴォーカル3名という編成で「パンガプスムニダ」で始まった。全6曲で比較的短めであったが、カスタネットを持って「海棠花」の曲に合わせて踊るのが新鮮であった。コリアンフラメンコか?お馴染みの「フィッパラム=口笛」では同志が歌いながら客席を回るのだが「フィフィホホ」の部分で私にマイクを差し出し、歌わせていただいた。初訪問なのに、早くもイイ感じである。

公演終了後、感想を聞きにくる同志達。

同志「公演はいかがでしたか?」
あんでんだ「とても楽しかった。カスタネットが新鮮だったし、サックス独奏はここ以外では上海モランボンでしか見たことがない。あと日本語の歌があれば嬉しいなあ。」
同志「キタグニノハル、スバル・・・」
あんでんだ「おお。次回は是非聞かせてね。」

 ここで社長だという女性が登場。50歳くらいのキビキビした身のこなしの人物である。このころには他の客はみな帰ってしまい、私と同志達のおしゃべりタイムと化していたのだが、社長が来ると突然立ち上がり、真面目にあいさつする私を見て同志達から笑いが漏れる。でもあいさつはちゃんとしなきゃな。以前、上海モランボンでも金支配人という同じような年齢の女性が立ち上げから数ヶ月お店に出ていたが、同じような立場なのだろう。こちらの社長さんは玄さん(音訳)というお名前だった。

 全くの新規開店だと思っていたこの北京牡丹館だが、昨年の12月18日のオープンだという。すでに八ヶ月経過しようとしているわけだが、そのわりに中国語上手コちゃんが多いし、私が不用意に発した「私は北レスのペンなので・・・」という発言にもしっかり対応していた。「ペン」とは、日本でいうところのファン(fan)である。それを韓国では「ペン」と発音するわけで、いわば韓国式英語なのだが、「南朝鮮のお客様が多いのです。」言うだけあってこういった会話にも慣れているのかもしれない。
 そしてこの名刺。驚くべきことに(そうでもないか)北京牡丹館は、瀋陽牡丹館の「第1分店」という位置付けなのであ〜る!!「瀋陽の牡丹館も行かれましたか?」と聞かれたので「いいんだけどちょっとデカすぎるなあ。北京牡丹館くらいの規模が一番いい。」と言っておいた。いやホンネである。

 この日、これまでの北レス経験談を語って人気者になってしまった私。注文したのはビール二本、イカの辛し炒め、五味子酒であったが、スンデ(朝鮮式腸詰)をサービスしてもらい。これはお持ち帰りにしてもらった。初訪問だったがかなり気分がよかった。

4.ここってあそこだったのか!?
 
 この経験をCAPTAIN同志に語って聞かせると、「重慶飯店が目印だというのが気になる。」と言う。そして「かつての北レス、牡丹峰ではないか?」とも。この牡丹峰のチラシを見ると、おおおおおっ!!

特徴的なT字型の道路のクイッと曲がったあたりに重慶飯店!!そう。ここはかつての牡丹峰だったのだ。画像に見られる店の構造も同じ、何より住所が同じである。エラいぞCAPTAIN同志!!この牡丹館、美人度はそれほど高くないが(失礼)、北レスらしい心からの接待を受けられる。次回行ったら是非確認したいのはステージバックの模様(上部スキャン画像参照)。赤、青、白と人共旗色であるが独特のセンスである。人共旗色を高度に観念的な次元でアウフヘーベンしたのだろうか(なんのこっちゃ)。(2006年7月30日訪問)

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