蜂の巣同志の北京玉流宮レポ

 蜂の巣同志が2005年10月、北京玉流宮を訪問、レポートを送ってくれましたので掲載します。ありがとう!!蜂の巣同志!!なお、青字部分が私のツッコミです。

 もともと年末で切れる分のマイレージの消化という、まことにどうでもよい理由で初めて北京を訪問したのですが、宮仕えの身であり事実上2日間しか北京で時間がありませんでしたので、言葉の問題や慣れないせいで時間を無駄にしたくないと考え、通訳というかガイドさんを事前に日本から1日だけ手配していました。

 そのガイドさんが、会ってみたらたまたま朝鮮族の女性で、もともと1人で北レスを訪問することに不安を抱えていた私は、渡りに船とばかり、その日の夕飯まで延長アテンドをお願いしたような次第です。

 おお!!これはラッキー!!北レスに同行してもらうならやはり朝鮮語のできる中国朝鮮族のガイドさんですよね。

 ホテルがシェラトンでしたので、近場にいくつもある北レスのリストを作り、日本からプリントアウトして持っていったのですが、ガイドさんにそのリストを見せて相談すると、リストの中にはないけど、彼女が一番おいしいと思ってる店に行きましょうとのことで、反対する理由もなくおまかせしました。

 北京に何軒もある北レスの中で、味にばらつきや違いがどれくらいあるものなのかよくわかりませんでしたが、いちおうガイドさんは実は普段からあちこちの北レスで(客を連れて)食べ回っているらしく、朝鮮族の彼女が言うのですから、それなりに味やレベルの差はあるのかもしれません。
 てな話をしていた見学中の万里の長城の上から携帯で電話をしてもらい、ステージ開始が7時半だということを確認し7時に予約を入れてくれました。着くまで店の名前は聞かなかったのですが(聞いてもわからないと思ったし)、その夜、黙ってレンタカーに乗って、着いた店が「玉流宮」だったという訳です。

 なるほろ。韓国人相手が多いのだと思いますが、職業柄食べまわっているのでしょうね。私の友人に、以前北京でガイドをしていた朝鮮族女性がいるのですが、日本人客はチップはくれないが買い物はする(ガイドにマージンが入る)。韓国人客はチップはくれるが買い物はしないなんて言ってました。

 店に入ると、広くてまばゆい店内が既にK-oyaji&アジュマの団体でほぼ満席です。話には聞いて(読んで)たけど、すごいなあ。予約しててよかった。そしてそのご機嫌そうなK-oyaji達を相手に忙しそうににこやかに動き回る、チマチョゴリの服務員同志たち。ああ、ついに本物の北レス服務員同志が目の前に!と感動しました。

 予約をしていたから席があるのは当然なのですが、ガイドさんが朝鮮語で何ごとかを受け付けの服務員同志と(半ば強引に)交渉しているなあと思ったら、なんとステージの目の前のテーブルに着くことができました。初・北レスでいきなり砂かぶりです。こういうところはガイドさんがいてくれるとありがたいです。

 おおおおっ!!こりゃまたラッキー!!朝鮮族はさすが親切に妥協がありませんね。

 座ってから見渡すと、大繁盛は繁盛なのだが、どうも韓国人しかいないんじゃないか?というほど団体客で埋め尽くされている印象で、メニューを見ても北京の飲食店の物価水準から見ればかなり高く、果たしてこの店に地元の中国人の客というのがどれほど訪れるものなのか、ちょっと謎に思いました。遠くにビジネスマンっぽくないアフリカ系のひとがチラっと見えたけど、あれは大使館員とかそういうのだろうか。だとすると北レスってかなりの高級料理店という存在なんですかね。

 玉流宮は私は未訪問なのですが、K-oyajiの天国のようですね。先日の日朝政府間交渉の二日目、北朝鮮側が用意した会談会場がここでした。米朝会談の時は海棠花2号店でしたのでこのあたりが格上なのかもしれません。

 ところでお馴染みの中国レストラン評価サイト「大衆点評」でも玉流宮に対する書き込みが見られます。「関九郎」同志の評によれば「価格爆貴。服務生都是朝鮮部長級幹部的子女。」とのこと。後半の「接待員同志がみないいとこのお嬢さん」というのはウラの取れた話なのかどうか不明ですが、前半の「値段がチョー高い」というのはそのとおりなのでしょうね。

 我々のテーブルについてくれた服務員同志は、名札のお名前をちゃんと見ることができなかったのですが、まだあまり中国語に慣れていないご様子でした。注文等はすべてガイドさんが朝鮮語でしてくれたのでスムースでしたが、逆に私が服務員同志と直接コミュニケーションを図る機会があまりとれなくて、この点だけはちょっともったいない気もしました。別に私も中国語なんかまったくできないのですが。

 こういう大規模店ではどうかわかりませんが、カタコトの朝鮮語や身振り手振りでも懸命に対応してくれるのが北レスのいいところです。その機会がなかったのはちょっと残念かもしれませんね。

 ビールは中国のものしかないということで、じゃあなんでもいいから北朝鮮のお酒を頂戴と言ったら、ベリー酒の(高価な)ボトルをおすすめされ、2人ではちょっと多いなあと思いましたが、余ったらホテルに持って帰っていいですよ、と優しく言っていただけたので、素直にそのまま注文しました。美人の押しに弱い日本人。飲んでみると度数も非常に高く、やや薬っぽいクセもありましたが、意外に嫌いじゃありませんでした。K-oyajiのみなさんはこれをがんがんいってらっしゃるんですかねえ。結局半分も飲めませんでしたが。
向かって右の画像の奥に見えるのがそのブルーベリー酒、「トゥルチュク酒」です。40%ですから強い酒ですよ。好みが分かれるのですが、北レスでは定番と言っていいと思います。また左の画像に見えるカラオケ画像の字幕から判断するに、この時流れていた曲は「祝杯を捧げましょう」ですね。新婚さんをお祝いする曲です。

 料理では、あんでんだ同志のおっしゃる通り、イカの辛子炒めがとてもおいしかったです。むしろ味噌炒めといったかんじで辛くないんですね。あと水キムチが絶品で、ガイドさんもこの店ではいつもお替わりをしていると言ってました。(ちなみにホテルに帰ったらテレビで寄生虫騒ぎのニュースをやっていて、おいおいと思いましたが。)

 ほどなく7時半になり、いよいよステージです。6月にCAPTAINアリエール両同志がご訪問されてレポートをされていますので、それからあまり間を置かないタイミングでの訪問ですから、ステージの内容はほとんど一緒だと思われます。私はアリランしか曲はわかりませんでしたが、若い服務員同志3名による、コケティッシュな振り付け付きのポップな曲が印象的でした。どこでだれがこの振り付けを考えるのか、なにを参考にしているのかが不思議です。昔の日本のアイドル(のバックダンサー)っぽくもあり、どことなく運動会のハーフタイムっぽくもあり…。昼間お店で新作を練習したりしてるのでしょうか。振り付けの先生が「そこ、違う!」とか言ってるのか。
 
 最近の傾向としてコケティッシュな振りが報告されるようになりました。大規模店で多いようです。たしかに何を参考にしているのかナゾですね。今後研究の余地がありそうです。

 ちなみに何回か来ているガイドさんの説明によると、口パクの曲もわりと多いとのことでしたが、見ている限り、それがほんとかどうかはよくわかりませんでした。少なくとも、後半、ステージから降りて来て歌いながらテーブルを回るときは、ちゃんと歌っている様子でした。私も握手をしてもらいました。ステージにいるときから、じっと熱く見つめていたからかもしれません。

 むーん口パクですか。そりゃイカんなあ・・。私はK-POPマニアでもあるのですが、韓国ではデンス系グループを中心に口パクが普通に行われています。リップシンク(lip synchronization)と呼ばれますが、韓国人は全く気にしていないように見えるなあ・・その影響だったらイヤだなあ。


 満足して帰り際、入り口の北朝鮮グッズ販売コーナーで、タバコのカートンと粉末朝鮮人参を購入。タバコは服務員同志が「こちらがお勧めですよ」と一生懸命プッシュしてくるところを「こっちがパッケージがかっこいいから」という理由で安い銘柄を求めましたが、そういう買い物の意味がわかってもらえるのかどうか。

 会計では普通にカードも使えました。おそらく自分では持つこともないであろうクレジットカードを慣れた手つきで処理する服務員同志…。店から一歩出ると事実上ほぼすっかり資本主義のマナーにまみれた北京の街なわけですが、純真な服務員同志たちが、プライベートで果たしてどのように北京で時間を過ごしているのか、とても気になりつつお店をあとにしました。

 CAPTAIN同志のおっしゃる通り、店が大規模すぎて、ホスピタリティという観点では、どうしても一対一の最高のおもてなしというサービスは望みにくいお店ですね。給仕サービスも団体客相手を前提としてかなり手慣れている印象で、純朴なかわいこちゃん服務員さんにロキロキする機会は得にくいでしょう。しかし逆に私のような北レス初心者には向いていたかもしれません。個人的には今回のたった1回の訪問で北レスに(というかかわいい服務員同志の皆様に)すっかり魅了されましたので、ぜひ近いうちに、もっと服務員と客の距離感の近い北レスを訪れてみたいと思います。

 次回は是非中小規模店を訪問されることをお勧めします。でも混み具合にもよるんだと思います。北京牡丹館は決して小さくないのですが、この訪問時は思いっきりロキロキできましたしね。05年の年末から年始にかけて大連と長春を訪問する予定があるので楽しんで来たいと思っています。
公演の様子。ステージの奥の方をよーく見ると、階段が人共旗(北朝鮮の国旗)カラーになっているのがわかります。

 以上、なにも新規情報がなくて申し訳ありませんが、素人が初めて北レスに行った感想はこんなもんだということで、適当にお読み飛ばしください。すばらしい経験をするきっかけを作ってくださった当サイトに、心から感謝いたします。ほんとうにありがとうございました。

 いえいえ。これからも北レスでのロキロキ経験ができることをお祈りいたします。

 (なお、全くの余談になりますが、この朝鮮族のガイドさんは、冗談のようですが実はこの次の日がなんと本人の結婚式!で、なぜか私も呼んでいただきました。中国式と朝鮮式と西洋式がごちゃまぜになった不思議な式次第でしたが、遠く吉林省から出て来られた花嫁の父上がしんみり寡黙だったのが、なんとなく胸を打ちました。式の次の日もガイドの仕事を入れているそうで、こりゃ経済発展もするわというか、日本がさっさと追い抜かれるのも時間の問題だと感じました…。)

 おおおおっ!!こ、これもラッキーですね。朝鮮族の結婚式かあ。私は漢族の式なら招かれて出席したことがあるのですが、わが国では隅っこに座っている新郎新婦の親がステージの一番イイところにいたり、「お開き」というものがなくて、みんなダラダラと帰って行ったり、やっぱし違うもんだなあと思いましたよ。で、中国式と朝鮮式と西洋式のごちゃまぜってのも興味深いです。でも知り合ったばかりの日本人客を呼んでしまうっていうのも朝鮮族チックな話ですね。

    
(蜂の巣同志 2005年10月訪問。この項、画像もすべて蜂の巣同志撮影。)

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