シェイキン北レス!!でも“作業服にはつけないのです”大連三千里訪問記 

1..(Shake, Shake, Shake) Shake Your Booty

 大連三千里は以前、写真だけ撮りに朝の時間帯に訪問したことがあったが、やっと今回食事する機会に恵まれた。三千里は大連市内から車で30分ほどかかる大連経済開発区に位置している。ここは外資系企業が多く存在するエリアで、日系企業も多く進出している。

 夜6時半に到着。ステージに一番近い、いわば特等席に通される。これはいきなしラッキーである。そしてメニューを見ておろろいた!!なんと南朝鮮じゃなかった韓国の「CASSビール」があるじゃない!?それから「主食」のところに「辛拉麺」って、これって韓国の農心が中国でも生産販売しているあの「辛ラーメン」のこと?

 韓国ではラーメンを注文するとインスタントラーメンが出てくるってことは結構よくあることなんだが、ここで「辛ラーメン」を注文するとやっぱりインスタントが出て来るんだろうか?う〜ん・・・なんだか韓国チックだなあ。ちなみに「CASSビール」は瀋陽の業者が韓国から輸入したものであった。


2.That's the Way (I Like It)

 ここで食事をするのは初めて。この日、主に接待してくれたのは金同志。美人である。私が朝鮮語で注文すると「どうして朝鮮語がおできになるのですか?」という反応。これはどこの北レスでもだいたい同じ。でもこれで距離がグッと近くなるのだ。

 イカの辛子炒め、チジミ、タコ刺し、羊串あたりと、お飲み物は当然CASSビールだ。韓国のビールは日本のものに比べて軽いのだが、中国のものに比べると美味しく、抵抗なく飲める。そうこうするうちに客もどんどん増えてきて、歌はなんと7時10分から始まってしまった。通常7時半、または8時から始まることが多いのだが、客が入ったので弾力的に運用しているのかも知れない。

金同志。大はしゃぎでステージの模様を撮影する私を暖かく見守っている。てゆっか笑ってるし。


3.I'm Your Boogie Man

 この日のステージは6曲。一般的に言って、北レスのステージは「パンガプスムニダ」で始まることが多い。「会えてうれしい」という意味だし、北朝鮮の著名歌手のライブもこれで始まることが多いんで、当然といえば当然だ。

 しかしこの日のステージは違っていた。

@オンヘヤ(朝鮮曲)
A我只在乎〔イ尓〕=時の流れに身をまかせ(中国語)
B甜蜜蜜(中国語)
C朝鮮民謡
D大約在冬季(中国語)
E野ばら(朝鮮曲)

私はいつも曲目をメモしているのだが、中国曲はテレサ・テンやスタンダードな曲以外はちょっと弱いのだ。この日も5曲目はわからなかったのだが、私がメモしていることに気づいた朴同志が漢字で書いてくれたのだ。ご覧のとおりに朝鮮曲と中国曲が半分ずつであり、一風変わった選曲となっている。

朴同志(画像なし)はこの日のステージではベースとヴォーカルを担当し、その歌唱力とリーダーシップから、ステージの核をなす立場と思われる同志である。その朴同志とステージ後、本日の選曲についてお話する機会があった。

あんでんだ「今日のステージは三千里の独特なカラーが出ていてよかった。」
朴同志「ありがとうございます。どのあたりが良かったですか?」
あんでんだ「“パンガプスムニダ”も“口笛”もなかったけれど、それがかえってここの特色だったと思う。中国曲が多かったみたいだけど?」
朴同志「今日は中国のお客様が多いのでそうしたのです。」
あんでんだ「おーなるほろ。南朝鮮のお客様が多い時は?」
朴同志「“パンガプスムニダ”と“口笛”を入れます。日本人のお客様が多いときは・・・」
あんでんだ「おおっ!!多い時は?」
朴同志「“北国の春”を歌うのです。」
あんでんだ「それは日本語で?」
朴同志「いいえ。中国語です(笑)。」

やはり客層を見て曲目を決めているのであった。どこの北レスでもある程度はやっていることなんだと思うが、朴同志にインタビューすることによってその方向性が明確になった。さすが北レス。こんな気遣いも嬉しいではないか。


4.Keep It Coming Love

 実はこの後、2曲追加で朝鮮曲を歌ってくれた。「ウリヌンハナ=我々は一つ」と「口笛」である。伴奏はカラオケだったのだが、アレンジがなんというのか非常にノリのいいバージョンで、朴同志も弾むようにシェイキン的に「ウリヌンハナ」を歌ってくれたのだった。感激である。

 ところで2004年10月、私は中国大連市を中心に上海を含め5軒の北レスを回ったのだが、そのいずれでも金日成バッジが着用されていなかった。「何故?」と聞くと「作業服にはつけないのです。」
との判で押したような同じ回答がどこに行っても返ってくるのであった。

 うち大連平壌館、大連高麗館、上海玉流酒家は以前の訪問時はつけていたのに、何故という疑問は残る。この日、三千里の朴同志も同じく「作業服だから」との回答であったが、私が「煙がかかると良くないからか。」とか、「外国客にモノ珍しげに見られるのがイヤだからか?」とか「(朝鮮としては不敬にあたる)人差し指で指されるのがイヤだからか?」との指摘にはすべて「そうです。」との回答であった。

 まあこれは朴同志が答えたというよりは、私が言わせたのだが、でもまあそういうことなんだろう。日本のワイドショーにかかるとホーカイのゼンチョーにされてしまいそうなこの件であるが、まあ以前からつけていない北京柳京冷麺の例もあり、そんなに騒ぐほどのことでもない。ただ北レスは当然当局の管理下にあると思うべきで(この記事参照)、何らかの指示があった可能性はある。

ビールをついでもらってゴキゲンな私。ビールが「CASS」であることに注目!!サインてゆっか、名前を書いてもらった。

大連三千里は実質初訪問だったが、非常に楽しく過ごした。接待員同志は10名ほどいるという。比較的大規模だ。また行きたい。あっ!!辛ラーメン食べるの忘れた。   
                                                          
                                      (2004年10月27日訪問)


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