大連平壌金剛山訪問記その1
02年暮れから03年年明けにかけて中国を旅していた私の最後の訪問地は大連であった。大連には北レスが3軒あるが、金剛山は存在は知っていても訪問する機会がなく、これが初訪問であった。位置的に市の繁華街からはやや離れており、旅行者が街をぶらぶら歩いていてたまたま行き当たるような場所ではない。ただし大連汽車站(バスターミナル)の近くにあり、丹東の帰りに立ち寄るのもいいかも知れない。行きのバスは朝9時前にはすべて出てしまうのでムリ。
私が漢族の友人と訪ねたのは1月4日の夜であったが、他に客はおらず、接待員同志とお話しすることができた。私が日本人であることはすぐバレたが、接待員は「この北レスをどうやって知ったのか?」と質問してきた。大連平壌館の接待員から以前聞いたのだ。また「日本人客は多い。」と彼女は言っていた。
店内にはモニターがあり、朝鮮の歌が流れていた。客が多ければナマ歌を歌うのだろうが、今回は歌わなかった。帰り際にお馴染み「朝鮮画報」を数冊いただいたが、あれ、ホントはタダじゃないんじゃないの?私がカウンターで画報を発見して大喜びしたのでタダにしてくれたんだろうか?ヒマだったせいか、接待員は2名しか出てこなかったが、全部で5名いるとのこと。
(2003年1月4日夜訪問)
お店の前景
大連平壌金剛山訪問記その2
2月10日、大連でたまたま仕事があって、しかも昼食は中国側と同席しなくてヨイという絶好の機会に恵まれた私は、迷わず北レスを訪問することに決めた。
金剛山を再訪すると、またもや客は私と友人の漢族のみで、昼だったせいもあるが店内は灯りがついておらず、最後まで薄暗かった。
しかし客が少ないのはラッキーと思わねばならない。一度目は遠慮して聞けなかったことを聞けるからだ。今回も接待員は2名しかいない。私のお世話をしてくれたのは金接待員同志。日本語を少し話せる。平壌で勉強して来たのだが、ここは中国なんであんまり意味がないと言っていた。ツーショット写真をお願いしたら「どんな理由で?」と日本語で聞いてきたが、直訳調の日本語もまあカワイイではないか。日本人客は時々しか来ないし。これは前回訪問時と食い違うが、ま、たいした意味ではないのだろう。
ちょとだけ突っ込んだ話を聞けたのだが、派遣元は「西山ホテル」だとのこと。あそこはあまり外国人は宿泊しないホテルだと思うんだが。また、この北レスの2階で寝泊りしているそうだ。在大連の他の北レスについて聞いてみたが、「平壌館」は知っていたものの、「高麗珈琲音楽酒廊」は名前は知ってても場所を知らなかった。あまり付き合いがないのだろうか。
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金接待員同志
お勘定の時に、カウンターにあった朝鮮画報を所望すると、1冊10元(約150円)とのこと。やっぱしタダじゃなかったんだな。スマン前回の同志よ。
ところが同じくカウンターにあった「ホンギルトン」のVCDを希望するとこれが値段がわからなくて大騒ぎ。滅多に買うヤツなんかいないんだろうか?
しかしこれが面白いこ展開に。金接待員同志が奥の方にいる男性に「オッパ」と声をかけると、黒いジャンパーを着た、北朝鮮人には見えない男がかったるそうに歩いて来た。「オッパ」とは本来お兄さんという意味なのだが、韓国では血が繋がっていなくとも年上の男性にはよく使う。しかし北朝鮮人が使うのは初めて聞いた。
金接待員同志はこの男にVCDの値段を尋ねるが、この男も知らないらしい。結局100元(約1,500円)で決着したが、もっと値切っておけばよかった。値切り交渉の際に、金同志が「平壌館に電話して聞いてみましょうか?」と言っていた。付き合いがあるのだろう
ところでこの男、朝鮮族だろう。私が「この店は(中朝)合弁なのか?」と中国語で問うと、「そんなワケないだろ。」と吐き捨てて奥に消えていった。そうか。合弁じゃないのか。ふ〜ん。独資ねえ。おっと、どっちの独資なのか聞くの忘れた。バカだ。
しかし北朝鮮人の「オッパ」は初めて聞いた。北の人だったら「トンム」という呼び方をするのだろうが、同じ民族でも中国人相手には「トンム」は使わないのだな。ちょっと面白い経験である。
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お店の中。北朝鮮から輸入した食材。「黒いもち米」って、なんだ?
訪問した2月10日は、金正日総書記のお誕生日直前であったが、当日は身内でお祝いするのだそうだ。「お店は休むの?」と問うと「ご奉仕いたします。お待ちいたしております。」とのけなげな回答であった。「ご奉仕いたします。」彼女達はお店で接待することをこう言うのだな。中国語なら「服務」に相当するんだろうが響きが全く違うな。ニヤニヤしちゃダメですぜ。そこのダンナ。
帰りも出口まで送ってくれた。同行した漢族の男性は「チョーセンの女性はヤサシですね。」と喜んでいた。
大連平壌金剛山の名刺の表と裏。「美しい平壌女性が心のこもったご奉仕をいたします」と書かれていますね。だからニヤニヤするなって。
(2003年2月10日昼訪問)