1.しょうがないので始興駅を歩く
下のソウル地下鉄の路線図を見ると光明駅が一駅だけ飛び出ているのがわかる。光明駅利用促進のため、2006年12月より地下鉄7号線がKTX光明駅に乗り入れているのだ。始興駅(光明の一つ上の駅)と一駅単純往復ではなく、ソウル寄りの龍山駅(路線図では上の方)との間を結んでいる。私はこの始興駅を起点に光明駅を目指すことにした。目指すといっても一駅乗るだけなんだが。
私が始興駅に着いたのは午後1時。すぐに光明に向かいたかったのに、光明行きの電車は、なんと午後2時までない。そもそも始興/光明間の電車ってのは1時間に1本か2本しかなく、1時台においては一本もない。まあしょうがないので駅をブラブラすることにした。
左は「思ったより近いぞ光明駅。鉄道で30分、車で40分」と書かれた販促用ののぼり。でもこれってソウルの中心部に住んでいる人用じゃないのか?光明駅まであと一駅の始興駅においても意味がないと思うが、まあケンチャナヨってことで。右が御大、KTXさまである。KTXさまが通過する反対側(向かって右の人がいるあたり)から地下鉄7号線の電車が発車するのである。
2.下がりまくるテンション
1時間ほど待ってようやく電車到着。
中はガラガラ。そもそもこれから向かおうとする光明駅は何も無いところにドカーンと作ってしまい、基本的にはアクセス手段は車しかなかったのだ(仁川空港直通バスや、地下鉄1号線冠缶駅行きシャトルバス、その他多数の連絡バスと巨大駐車場が存在する)。直通電車を作ったのも、上の画像の「思ったより近いキャンペーン」もテコ入れの一環には違いないのだが、電車の中はホントにガラガラ。なんだかちょっとテンション下がってきた。
ほどなく到着。おおおおっ!!デカい!デカいぞこれはっ!!天井も高いぞっ!!偉大なお方の巨大銅像を収容できるように作っただけのことはある(そんなわきゃない)。エラいぞ光明駅!!ってな風にはしゃいでいるのは私だけ。地下鉄から降りた人は荷物をゴロゴロしながらKTXのホームに黙々と向かって行く。なんだか重苦しい雰囲気だ。向かって右の画像は駅舎内部を横断する渡り廊下。人が少ない。上海浦東空港から喧騒と魂を抜いたような光景だ。あまりの静けさにまたテンション下がってきた。
3.ナゾの地名だ「光明市」
しかし、せっかく来たこの光明駅、その革命的駅名の由来なんか知りたいではないか。ナヌ?光明市にあるから光明駅に決まっているだろうって?無粋なこと言っちゃあいけませんぜダンナ。光明市日本語サイトの「光明市の歴史」を見ると(三国時代まで遡るのがスゴい)、初めて「光明」の名前が見えるのは1970年。しかしこのときすでにすでに「光明里」という地名があったわけだから「光明」という地名自体はもっと古くからあり、決して北朝鮮シンパが偉大な方を慕ってつけた地名ではあるまい。なんてバカなことを考えながら駅構内を歩いていたら、おおっ!!こりゃいいもんみっけ!!
「高速鉄道案内システム」!!こりゃいい。これ見れば光明市のこと、もっとわかるかも知れない。なんつってもここはKTX光明駅なんだから。さすがIT大国韓国。光明駅の案内なんかもあるだろうな。うん。・・・と、思ったら・・ハレ!?・・・「故障修理中」!?なんだよー(泣)。オレのテンションを下げるように下げるようにしてないか光明駅さんよお?このだだっ広い光明駅構内にこのシステムはいくつもあったが、まともに動いているものは一つとしてなかった。たのむよKORAILさんよー。なんとかしてよー。
4.ムダにデカい光明駅は駅名表示もデカい。
スマんがKTX光明駅はムダにデカいと断定せざるをえない。略してムダデカ度がムダに高い。
駅に併設された公園には人っ子一人おらず、真夏にも関わらず噴水も止まっていた。構内の待合室ではラブラブなカップルがデジカメ画像を見せあってはしゃいでいた。きっと「二人っきりになりたいね。」「じゃ光明駅に行こう。」ってなことになったんだろう。なんだかムダデカ度が更に倍になるような光景である。KTX日本語サイトの(駅ごとの)観光情報を見るでも完全に無視されている光明駅。
なんだか見てはいけないものをわざわざ見にきたような脱力感に襲われてしまった。しょうがない。記念に短区間だけでもKTX乗って帰ろう。現在午後2時40分。次のソウル行きは・・・へ?3時39分?こんな暗い気持ちのままあと1時間も待てない。しょうがない地下鉄で帰ろうかな・・・と思ったその瞬間、おおおおおっ!!こ、これはっ!!
光明駅と書いてあるっ!!デ、デカい!!ここは非武装地帯かっ!?高さ5mくらいあるんじゃないかこれ。数年前まで非武装地帯に存在した対北宣伝用の巨大文字を想起させるたたずまいである。「自由のある国」なんて書かれていたなあ。反対に北朝鮮の対南宣伝だったら「税金のない国」とかね。なんだか革命的に元気が出てしまった。だって「光明駅」ですぜダンナ。冒頭で「革命的にシンボリック」と書いたが、実は平壌地下鉄革新線に全く同じ「光明」という駅が存在する。それが私をロキロキさせた大きな要因なワケで、ここ光明駅まで足を運んだ最大の理由でもあるのだ。私が平壌地下鉄の栄光駅で直接撮ってきた路線図をお見せする。
うーん見にくいなあ。向かって右上に延びる緑の線が見えるでしょ?上から二つ目がそれなんですよ。ここは日本人用観光コースに入っていないので私も光明駅には行ったことはないのですが、行かせてくんないかなあ。今度KTXの光明駅の画像なんか案内員同志に見せながら交渉してみたいなあ。頼みますよ朝鮮国際旅行社さん。
外国人の私であってもいくらでも自由に出入りでき、寒い気持ちになることさえ自由な韓国KTX光明駅と、外国人であるからこそ行きにくい平壌地下鉄光明駅。両者は姉妹駅提携を結んではいかがか?KTXの改札のところに立っているタスキをかけた親切お姉さんは実は平壌美女とか、そういうの希望。(2007年8月17日訪問)
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