信濃川の向こうは北朝鮮か!?橋が結ぶ縁/長岡でロキロキ


 所用で新潟県長岡市に行ってきた。新潟市内に前泊した私は、翌朝特急北越で長岡に到着(安易に新幹線乗らないところがいいやね)。会場は長岡リリックホール。信濃川の向こう側である。タクシーで向かうことにした私の目に、突然飛び込んできたものはっ!?
こっ、これは・・・タクシーの背もたれの後方に中朝友誼橋の写真が。川の向こうは北朝鮮か?なっ、なぜこんなところに・・・↓


中朝友誼橋とは、鴨緑江で隔てられた中国丹東市と北朝鮮新義州市を結ぶ橋である。我々旅行者が国際列車で北朝鮮に入ろうとする時に渡る橋でもある。これ↓

長岡に中朝友誼橋や鴨緑江があるはずもなく、同じトラスと呼ばれる構造を採用したトラス橋が長岡にも鴨緑江にもあるということだ。タクシーの中で見たのは長岡市のシンボルともいえる「長生橋(ちょうせいばし)」である。美しい橋である。私はこの双子と言ってもいいほどよく似た長生橋にすっかりロキロキしてしまい、長生橋の写真を撮りに翌日早起きしたくらいである。またラッキーなことに柏崎からの帰路、実際に車で渡ることもできた。
 
 左の画像が早起きしてタクシーの運転手さんに「長生橋がきれいに撮れるところに連れてってください。」とお願いした時のものである。トラス構造の骨組みが美しい。この長生橋は長岡の花火の時にはナイアガラと呼ばれる壮大な仕掛け花火の舞台として知られているが、私は全く知らなかった。また長岡滞在中にタクシーに2回乗ったが、運転手さんは二人とも「あの橋は塗装代がかかって大変なんですよ。」と聞きもしないのに言っていた。長生橋の塗装代って、長岡市民の共通認識なんだろうか?実はものすごく納税意識が高いとか?「長生橋の塗装代を考える市民の会」があるとか?右側の画像は橋の中央部のあたりを渡っている時に撮ったのだが、両端部分に比べて塗装がはげてサビが目立った。予算的な問題があるのかどうか、一気に全部塗れないんだろうなたぶん。

 このあと立ち寄った新潟市の紀伊国屋書店でこんな本を発見した。この本ヨいですよ。画像も豊富だし。長生橋ももちろん取り上げられている。また、国土交通省北陸地方整備局長岡国道事務所様「ふるさとニッポン・よりみち街道『中越』ホームページ」で見られるこの画像は非常に美しい。そして中朝友誼橋にとてもよく似ている。対岸がもっと暗ければ中朝友誼橋だと騙せそうなくらい似ている。鴨緑江対岸の北朝鮮は真っ暗だもんな。でも一点だけボアーッと明るいところが金日成主席の銅像があるところなのだ。

 長生橋は昭和12年、中朝友誼橋は昭和18年の建造。戦前に作られた点も共通している。こういった外観を持ったトラス橋が同じ時期にいくつか建造され、探せば日本にまだあるのだろうと思った。しかし北朝鮮趣味もいろんな方面に拡散するもんだなこりゃ。今回は橋の話になっちゃった。

 美しい長生橋。長岡に来てよかった。地酒もおいしかったし。人も親切だし。丹東を訪ねた長岡の人が中朝友誼橋を見て逆ロキロキしてしまった例はあるのか?とかいろんなことを考えながら長岡市内を歩いていた私。と、その時!!

おおおおおっ!!北朝鮮国旗と全く同じ配色っ!!並びまで同じ(外から青・白・中央が赤)!!国旗の色は今すぐウィキペディアで確認せよ!!中央部には赤いマスクをかけたが、偉大な方の肖像画が燦然と掲げられているのである(そんなわきゃない)。ホントはお店の名前があるのだが、夜間照らせるようにスポットライトがあるのがおわかりだろうか。平壌の地下鉄は照明が暗いのだが、車両の端にある偉大なお方の肖像画にはスポットライトがあてられているのである。なんとなくそれを思い出してしまった。なんだか本当に肖像画を掛けたくなってきた。上下を貫く赤い柱も主体革命偉業を貫徹する強い意志の具現化であろう(関係ないって)。

 今回の長岡行きで、長生橋と中朝友誼橋は、オレの心の中で友好橋になった。オレの心の中でだ。てゆっか橋と橋が結ぶ友好都市というものもあっていいよな。うん(実際には長岡市と中国との間に友好都市はなく、丹東市の友好都市は徳島市である)。私は以前から新潟市には中国語検定受検のため頻繁に通っていたのだが、今回の一件ですっかり長岡LOVEになってしまった。丹東の鴨緑江がきれいに見えるホテルに陣取り、中朝友誼橋と北朝鮮を眺めながらビールを飲む贅沢を知っている私だが、長岡の花火の時には人で埋め尽くされるであろう信濃川の土手に、あえてシーズンオフの時期に陣取り、長生橋を眺めながらビールを飲みつつボーッとするってのも・・・いいなあ(うっとり)。

                                   (2007年12月21日・22日訪問)