Steely Dan 来日記念/平壌麺屋は北朝鮮っぽくなかった


冷麺は平壌が本場なのはご存知のとおり。私が初めて韓国を訪問した20年前は現在のような南北融和ムードとは程遠かったが、平壌冷麺という看板は堂々と店の正面に掲げられていた。当時ハングルを読めるようになったばかりの私は、「北朝鮮の首都の名前を堂々と出して大丈夫なのか?」と、冷麺の名前であることを知りながらもドキドキしていたものだ。2007年夏、3年ぶりにソウルを訪問した私は東大門近くの“平壌麺屋”を訪問することにした。
1.幻想の摩天楼/The Royal Scam

東大門近くに宿をとった私は、ミリオレ近くのモンゴル村を視察、羊肉やモンゴルウォッカを大量に売っている店なんかを発見した。そして次どこに行こうかと考えていた私の目に入ったものは、な、なんだあれ!? 
ピョンヤン・・・“平壌麺屋”と読める。高い!高いぞっ!!マンハッタンの摩天楼を想起してしまった(そんなわきゃない)。おお。ソウルでは冷麺でビルが建つほど儲かるのか。
まだ朝早い時間帯(9時半)だがちょっと寄ってみた。幻想の摩天楼に見えたのは立体駐車場。でもこのデカい立体駐車場が埋まるほどのお客さんが来るんだろうな。駐車場に書かれた絵は金剛山か?
2.Do it again

中に入るとおそろいのユニフォームを着たオヤジ集団で早くも賑わっていた・・・と思ったら調理師の皆さんがまかないメシを食べていたのだった。わたしゃまたおはよう野球の仲良しオヤジグループが朝から飲んでいるのかと思ったが違っていた。ユニフォームに見えたのはおそろいの調理師服だったのだ。この人たちは毎〜日毎〜日冷麺ばっかり食べていて飽きないのかとも思ったが、朝から冷麺食べているわけではなかった。開店時刻を聞いたら「11時。」とのこと。なるほろ。これから遠くに行くんでもう一回夜に来てソレすることにした。
これがメニュー。冷麺中心だが肉料理も見える。


3.Can´t buy a Thrill
 
もう一回来た。朝の看板が夜はこのように光るワケだ。すでに夜9時。店内はたいそうな賑わいぶりで、日本人観光客の姿も多く見える。こんな有名人が来たとか、こんなメディアで紹介されたとかいう記事が店内に貼り付けられている。肉料理があるとはいえやはり冷麺がメイン。ラオスの北レスで「日本人は冷麺しか注文しない。」と怒られた日本人客がいたそうだが、ここは冷麺のファーストフードのような感じのお店で、冷麺だけでも決して怒られることはなかった。

そういうわけで冷麺はフツーにおいしかったが、蕎麦テイストが強く、好みは分かれるところであろう。北レスのようなロキロキ感は最初から望んでいなかったが、平壌麺屋という店名とはいえ、北朝鮮っぽいスリルを感じることはできなかった。やはりスリルといえどもちゃんとカネを出して買うもんだと思った。いやそもそもスリルとは金では買えないものなのかもしれない。

ところで冷麺というものはシメに食べるもので、東大門の繁華街から少しだけ離れているとはいえ、営業は深夜にまで及ぶだろうと想像していたが、9時過ぎにはすでに正面の灯りは落ちていた。朝と同じように調理師の皆様がまかないメシを食べはじめていたが、朝と違ってそれは冷麺だった。
4.Countdown to Ecstasy
“三代にわたる伝統の平壌麺屋”と書かれている。ただそれだけなのに“平壌”の名が闇に浮かび上がっているだけでバラエティ系報道番組がオクターブ低いナレーションを入れてきそうな気がするのが不思議だ。
フツーに平壌麺屋を後にした私は翌日、ソウルを離れた。その夜はミッドタウン東京にオープンしたばかりの“Billboard Live(公式サイト)”でSteely Danのライブを見た。Steely Danの来日は4回目だが、ライブハウスは初。こんな小さな会場で世界の一流の迫力ある演奏を、スーパードライを飲みながら時々トイレに立ちつつ堪能できるなんて夢のようだった。この陶酔の瞬間をソウル滞在中から指折り数えていてよかった。ただラーメン屋みたいな券売機で食券(飲券?)買わなきゃいけないのはいいとしても、千円札と二千円札(!?)しか使えないのはなんとかしてくれ。(2007.8.18平壌麺屋訪問。8.19Billboard Live訪問)