平壌恩徳館に巨大硯を見た!!恩徳館初訪問記

 上海にはコリアタウンと呼ばれる一角がある。ここはハングルの看板が多く見られ、コリアマニアである私にとって、まことにロキロキできるエリアである。コリアタウンの訪問記は別途アップするとして、12月31日、ハングル溢れる紫藤路に存在する恩徳館を初訪問した。

1.上海で凍死寸前

 大晦日の上海は寒かった。前日降った雪がまだ残っており、歩道を覆った氷は、当日朝まで滞在していた吉林省長春市を思い出させた。それでも上海は零度。長春よりは25度暖かい。

 恩徳館の位置は事前に北レスふぁんくらぶ会員同志の情報提供によって把握していたが(キャプテン同志情報ありがとう!!)、コリアタウンを4時間ほど歩き回った私の体は冷えきり、足が痛くなってしまった。この日、地元の中国人と一緒に7時20分に入店。客の入りは半分程度か?接待員同志達はおそろいのピンクのチマチョゴリを着て、バッジをつけている。


2.それどころじゃなくなったので

 7時半から公演が始まることになっていたのだが、私の入店直後から客がガンガン入ってきて、それどころではなくなってしまったようで、結局公演が始まったのは8時半であった。歌は8曲。アリランから始まって踊りを挟みながら中国語で「時の流れに身をまかせ」を歌い「私の国が一番良い」でシメるという展開であった。

バックにドラムが見えるでしょ?バンド付きの曲ではチマチョゴリ姿の同志があそこに座るのだ。こういうミスマッチもいいもんだ。右から二枚目の画像はキャプテン同志撮影のもの。白く見えているのはソクチマ(内スカートってな意味)。これがないと透けちゃうんだって。

3.犬じゃなく海のカニです

 恩徳館の広告を見ると、「黒い石の上で焼いた肉」が名物として紹介されている。「黒い石」とは秋田県男鹿半島名物の石焼料理のように、その辺から拾ってきたような石を使うのだと思っていたのだが(ここの「石焼料理」参照)、注文時に「30分かかりますがよろしいですか?」と言われ、出てきたのはなんと巨大硯を思わせる石の台(適当な表現が見つからない)だった。なるほどこれなら熱が十分に伝わって焼きあがるのに30分はかかるわい。それを接待員同志が健気に切ってくれるのだが、これが実においしかった。

向かって左端のようなものを想像していたら(以前長春妙香山で食べたもの)、真ん中のものが出てきた。

この日主に接待してくれた姜(カン)同志。実際はもっと美人だ。


 それからメニューに手書きの一覧表のような一枚紙が挟んであり、「パンゲ」と書いてあったのだが、「パンゲ」ってなんだ?カン同志が言うには「海のケ」ですよ。・・・「海」はわかったが「ケ」って、「犬」か?「海の犬」ってなんだ!?カン同志「いや、そのケじゃなくてケです。川じゃなく海のケ。」
 
 おおっ!!カニのことだったんだな。朝鮮語では犬もカニも「ケ」で、実際は微妙に発音が違うんだが、我々にはなかなか聞き分けができない。でも表記は違うから冷静に考えればすぐわかったはずだったのだ。同志達は手でハサミの形を作るなんて下品なことはしないのだきっと。つまり一枚紙は、カニの重さ毎に価格を一覧表にしてあったワケだ。私は迷わず2ハイ注文した。
 
 出てきたのは日本語で言うとセコガニ・・・ですかね。この日、同行したのは中国人女性だったのだが、彼女は海のカニといえばワタリガニしか食べたことがなく(たしかに中国の海鮮料理ではほとんどがそれである)、せっかくの美味しそうなカニを口にしなかった。おかげで私は二人分食べちゃった。これが外子、内子がバシッと詰まっていて実に美味しい!!もう一度行く機会があったらカニだけ大量に注文しちゃおうかな。

ごっ、ゴメン写真下手チョなんで美味しそうに見えないかもしれない。私はカニ大好きなんだが、これは美味しかったなあ。日本に持って帰りたいくらい。


4.ナゾの高校生(のような人)

 黒石焼肉やらカニやら注文したのでお勘定もやや高めだったが満足した。訪問したのは大晦日だったのだが、店内には2005年(主体94年)版カレンダーが置いてあり、みな興味本位に見ていくのかややくたびれていたが、聞くと「販売しています。」とのこと。私は迷わず北朝鮮の景勝地を扱ったカレンダーを購入した。他に赤ちゃんカレンダーやエアロビのようなものもあったが、今にして思えば景勝地のようなありがちなものよりも、エアロビカレンダーの方がおいしかったかも知れない。1部50元(約700円)。

 ところで店内に一人、高校生か、いいとこ二十歳くらいにしか見えない若い男性がおり、流暢な中国語で客と話していたが、いったい、何者?姜同志によれば「一緒に平壌から来た朝鮮人です。」とのことだが、経営責任者なのか?

 2004年9月29日に開業して三ヶ月少々。姜同志の接客態度は控えめながら好感のもてるものであった。ただ全体的にもっと溌剌とした雰囲気があってもいいのではないか。それから客の少ない時間帯に、同志同士でダベってちゃダメよ。それじゃフツーの漢族のレストランと変わらなくなっちゃう。                     (2004年12月31日訪問)

TOPへ        北レスTOPへ

名刺。いいデザインですね。ひまわりが可愛らしいです。恩徳館は紫藤路にあるのですが、この通りのことは上海で発行されている韓国語紙にこれでもかとばかりに書かれているのでそのうちご紹介します。