黄色いのだけはカンベンしてください/瀋陽西塔と抗美援朝烈士記念碑訪問記

 2006年のGWは中国東北地方北レスツアーに出かけた私であったが、中国随一のコリアタウンである瀋陽/西塔を再訪したので報告する。

1.朝鮮平壌美術作品展示会

 2006年正月にも訪問したがお休みだった。しかし今回も労働節(メーデー)のためかお休みで、中に入ることはできなかった。ただちょっと外観に変化があったので報告する。
 
以前は看板ではなく横断幕だったが、りっぱな青い看板がかかっており、その下に中朝両国の国旗と共に「ピョンヤン」という表記が見えた。なお、4月に訪問した造船同志によれば、朝鮮絵画の販売を行っており、今は朝鮮から絵描きが15名ほど来ているが間もなく帰るとのこと。


2.旧北レス「綾羅島」
 
 地球の歩き方「大連と中国東北地方05〜06」に北レスとして紹介されている「綾羅島」はあまり長続きしなかったようで、現在はこうなっている。

 「歩き方」をお持ちの方は見比べていただきたいが、大きな看板とその下の横二列に並んだタイル貼りに面影を残している。それにしても現在の店名が「カフェ&レストラン ソウル」とは・・・。情報を下さったピョンヤンスル同志に感謝いたします。

 ところでこの数日後に大連名花苑のカウンターで飲んでいたところ、金同志が「以前は瀋陽の綾羅島で働いていたんです。」というので、この画像を見せてあげたらとても喜んでいた。
3.西塔大冷麺
 
 大人気の冷麺店、「西塔大冷麺」に入ってみた。朝10時というのに、200名は入ろうかという1階はほぼ満席で、2階に通された。朝の10時ですぜダンナ。
  
 朝鮮族百貨店の通りを挟んだ真向かいに位置するこの「西塔大冷麺」、この界隈では有名店のようである。真ん中の画像がその西塔大冷麺。わずか4元(60円弱)である。そしてどんぶりに山と盛られた唐辛子。これをダバーッとかけて食べてもヨいのである。

 この時は友人の朝鮮族と一緒に行ったのだった。以前テレビで、西塔大冷麺に行列ができているのを見たことがあると言う。ところが、ほんのちょっと口をつけただけで「いらない。」と言う。

 「冷麺の麺は黒い方がおいしい。黄色い麺など冷麺ではない。」のだそうな。たしかにこの麺は日本で食べるラーメンを思わせる色と喉越しではあった。朝鮮族は民族固有の食べ物にはプライドを持っているので、その発言は理解できなくもない。ただ私にとっては初めて体験する一風変った冷麺であり、十分においしいと感じた。

 朝鮮族がダメだと言うにのに、朝もハヨからこの賑わいは何なのか?きっと漢族が好む味なんだろうと勝手に解釈することにした。次回は漢族と一緒にこよっと。
4.朝鮮族百貨店1階チマチョゴリ売り場

 1階のチマチョゴリ売り場はガラス張りになっており、外からも丸見えである。安いもので280元(約4,000円)、高いもので480元(約7,000円)。さらに高いものもあるが、よく出るのはこの価格帯とか。店内狭しと吊るされたチマチョゴリが色鮮やかだ。

 お客さんは頻繁にやってくる。5月1日という労働節の初日であることを差し引いても大人気だ。店長は50歳くらいの女性だが、極めて無愛想で、笑顔が全くない!!こういうのを職人肌・・・って言うんスか?

 韓流、特に「大長今」の人気が売り上げに関係あるのかとか、店長のおばさんに聞いてみたかったが、基本的に小心者の私はカウンターに鈴なりの客に隠れてこの写真をとるのが精一杯だった。


5.抗美援朝烈士記念碑

 地球の歩き方「大連と中国東北地方05〜06」の77ページの瀋陽地図の最上部に辛うじてその名が見える「抗美援朝烈士記念碑」に行ってみた。この訪問記、これまで報告した1から4までは西塔にあるが、この「抗美援朝烈士記念碑」だけは市の中心部からは少し離れたところにある。「抗美援朝」とは朝鮮戦争のことであり、丹東に記念館があることはよく知られている。

 5月3日の朝、一人で訪問した。入り口には公安と思しき男がおり、「入場はタダだが身分証を見せろ。」と言う。私がパスポートを見せると「日本人か!?」と驚いていた。その影響か旅券番号を手元の入場者リストに記入すべきところを、裏表紙のところにある「受理番号」を記入していた。更に「電話番号を教えろ。」と言う。そんなこと聞いてどうすんだか。

 中に入ると広い構内に人っ子一人いない。朝9時という時間帯でもあったがここは観光地ではないし、労働節休暇中とはいえこんなカンジなのだろうか。
  
 朝鮮戦争当時活躍した飛行機の展示と、その後ろにある記念館。シャッターが少しだけ開いていたが、休館中のようだった。抗美援朝烈士記念碑がここ瀋陽にある意味など、詳しく知りたかったこともあり、是非見たかったが休館中では止むを得ない。
  
 郭沫若の筆による慰霊の言葉(多分)。達筆過ぎて読めない。花が供えられていた。ダラダラと歩いていたら、向こうから大声で私を呼ぶ声が。一体何事だ?

 近づいてみると、一人のオヤジ。係員には見えないが何者?「わりーが記念碑をバックにこれでオレの写真撮ってくんないかね?」と言って写メ付き携帯をオレに渡すオヤジ。ガクッ・・・そんなことで呼ぶなってーの。

 家路につくオヤジ。満足感がその背中から伝わってくる。この項冒頭で「人っ子一人いない」と書いたが、「オレとオヤジしかいない。」に訂正する。

 抗美援朝では義勇兵が中国各地から参戦したことが知られているが、他の都市にもこういった施設があるのだろうか?ここ瀋陽は北朝鮮に接する遼寧省の省都なので特別な意味合いがあるのかも知れない。なんてことを考えながら「抗美援朝烈士記念碑」を後にした。さっきの写メオヤジの姿はもう見えなかった。(2006年5月1日から3日にかけ各地訪問)
    
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