黒龍江省綏化市に北レス「平壌館」オープン!!

 韓国紙「朝鮮日報」3月31日付け記事は、2005年3月27日、中国黒龍江省綏化市に北レス「平壌館」がオープンしたと黒龍江の朝鮮語新聞「黒龍江新聞」の記事を引用する形で伝えている。

 私は当初、中ロ国境の都市、「綏芬河市」の間違いではないかと思ったが、地図を見るとたしかに省都ハルピン市の北方に「綏化市」は存在しており、時刻表を見ると125キロの距離である。この距離ならハルピン駅前のバスターミナルから多分バスが出ているだろうし、ハルピンを拠点にすれば、まあ行きやすいとも言える。ここは綏化市情報サイト。しかし特に面白いものはない。

 朝鮮日報の記事の画像をよーく見ると、最下部に髪をリボンで束ねた3〜4名の女性達の顔が見られる。また朝鮮日報記事の写真上部に、漢字で「平壌館」と大きくかれた看板が見えるが、その背景には何か青いものが書かれているように見える。何だろう。引用元の黒龍江新聞の記事にこの画像がないのはナゾだが、北レス取材ゴコロを大いにくすぐってくれる記事ではある。


 黒龍江新聞は今回の開業について、中朝合弁という視点から詳細に取材しています。とても興味深いです。記事を訳した上で再構成してみました。※が私のコメント。

1) 朝鮮813貿易総会社と中国との合弁である。

・ 朝鮮813貿易総会社は中国だけでも北京玉流館、瀋陽モラン館、青島平壌館をはじめとした合弁食堂と、大連キムチ工場、丹東キムチ工場のような合弁企業を運営している。
・ 同社の「平壌館」飲食奉仕プロジェクトは現在、丹東、瀋陽、ハルピンなど10箇所余りで飲食店を立ち上げ、盛況である。
・ 中朝合作の名前で綏化市の繁華街(西直路北4−5番地)に開業した「平壌館」は綏化市北林区と興和朝鮮族郷の指導者達、そして現地の仲介役である駐中瀋陽総領事館幹事であり、在中朝鮮人青年連合会委員長であるムン・テファ先生の尽きることのない努力の結晶である。
・ 今回、平壌館の設立に多くの努力を傾けた興和朝鮮族郷党委、キム・ナムホ書記は、これを契機に興和郷は自分の地方の長所を十分に活用して観光業、農産物等の分野で朝鮮側と合作を強化、地域経済を更に一段階向上させる計画だと語った。

※ 記事を見る限り、朝鮮側は813、中国側は綏化市北林区と興和朝鮮族郷(郷は行政単位)の合弁企業のようですね。この記事で平壌館の所在地までわかってしまったのは収穫です。「ソジク路」の漢字表記がわからなかったのですが…「西直路」かなあ。でも現地で地図を入手すればすぐわかるでしょう。繁華街として紹介されているし。
※ でも在瀋陽総領事館まで出てくるのは驚きです。「在中朝鮮人青年連合会」というのは中国で
 働く北朝鮮の人たちの集まりと読めるのですが、どういった組織なんでしょうね。


2) 開業式が挙行された。

・平壌館の中国側パク・ソンヘ初代総経理の労により、本日の開業式は挙行された。
・ 開業式には来賓として綏化市北林区党委チェ・ボンリム副書記が出席。「平壌館がハルピン以北で唯一の中朝合作朝鮮伝統料理飲食店として営業することになったことは、興和朝鮮族郷幹部達の、すばらしい努力により成し遂げられたと述べた。
・ 更に、興和郷が投資誘致事業として、これから中朝両国関連幹部達が合作を強化し、平壌館が、興和郷の観光、農産品輸出など、関連産業の架け橋として育つことを希望すると述べた。
・ 朝鮮側を代表して祝辞を述べた朝鮮813貿易総会社のキム・ククフン処長は、日毎に高まって行く朝鮮の民族料理文化に対する世界人民の要求によって、当社は中国をはじめとする海外に合弁企業を運営していると述べた。
・ 更にキム処長は、綏化市の平壌館は「朝鮮民族の優秀な料理と、平壌接待員達の親切な給仕態度で、来訪する全ての客に満足を与えるだろう」と述べた。

※ 興和朝鮮族郷が力を入れていますね。経済の活性化を画策する興和朝鮮族郷が813に進出を打診したように思われます。朝鮮日報に少しだけ写っている接待員同志達の写真は、開業式のものかも知れません。
※813のキム処長は「中国をはじめとする海外」という言い方をしているので、他国にも進出しているのでしょう。ただこれは必ずしも北レスを指しているわけではなさそうです。
※「朝鮮族ネット」で開業の様子が掲載されているのを発見しました。ここですが、おおっ!!踊ってる!!ただしこれは雑誌の写真を転載したものみたいですね。


3)接待員達は半年の訓練を経ている。

・ 朝鮮側は平壌からの半年間の「海外飲食奉仕プロジェクト特別訓練」を経た「歌、楽器、踊り」に熟練した14名の若い女性接待員達、そして特級調理師と管理人を各2名ずつ急派したという。
・ 2階建て700平方メートルの営業面積であり、朝鮮伝統料理庁、大型飲食庁、中国料理庁、歌舞飲食庁等に分けられている。
・ 全ての食材と調味料、水産物を朝鮮から輸入している。その内水産物は品質が良く、汚染がなくて客の食欲をそそるだろう。

※ 以前平壌で会った北レス関係者は「三ヶ月の訓練を積む。」と言っていましたが、ここでは半年
 間になっていますね。14名だと大規模だと言っていいです。青島海棠花が同じ14名でした。
※いろんな「庁」に分かれていますが、エラく広い印象を受けます。公演が行われるのは「歌舞飲食庁」だけなんですかね?もしそうだったら他の「庁」から大挙客が押し寄せて大変なのでは?

※黒龍江省についてはハルピン市、牡丹江市、そして今回の綏化市で北レスの存在が確認されたわけだが、その他のチチハル市、ジャムス市といった大都市にも存在の可能性がある。北林区の副書記は「ハルピン以北で唯一」と発言しているが、他の会社からの派遣では気づかないことがあるわけで、調査結果が待たれるところである。てゆっか自分で行けってーの。

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