トルクメニスタン旅行記(6)アザディ広場でタワ見酒
 トルクメニスタン二日目。5時に一旦ホテルに戻って休憩し、夜7時に再度出発することにした。夜の独立記念塔公園と、8時にギギギと開くと言う巨大ルーフナーマモニュメントを目撃するためである。
 
 18.夜の独立記念塔
 夜7時にホテルを出発。独立記念塔へ向かった。
    
ライトアップされて独特のむんいきが醸し出されている。この照明センスを人は「パチンコ屋のようだ」と評するだろうが、それはパチンコ屋の照明を知っている日本人だからこその共通認識であり、ナターシャに説明しようと思うと“パチンコとは何か?”から英語で説明せねばならず、結構辛いのでやめといた。
 
独立記念塔正面に立つ歴史上の英雄。夜もこの塔を守っているのだ。でも夜に見るとけっこう怖い。オレが子供だったら絶対一人では来ない。
塔の内部は博物館になっている(入らなかったが)歴史上の人物の他に、中央に生身の守衛さんもいることがわかる。ここのライトアップも独特。  塔のドーム部分はこのように水が流れ落ちる仕掛けになっている。
塔を背にして反対側。政府関係の建物だろう。ここも独特のむんいきがある。  先生と再会。ライトアップされた夜の先生もまたヨい。
   
おお!!昼と違ってキングギドラは口から光線・・じゃなかった水を勢いよく発射している。ギドラ(本物の方)が口から出す光線が「引力光線」という名称であることを今回初めて知ったが、トルクメニスタンのギドラもなかなかにカッコいい。  
 トルクメニスタンギドラは正しくは五頭の鷲であるが、これは国を構成する五つの州を表現している。もしこれが中国だったらどうなっていただろうか。56の民族を抱える中国。きっと首は56本になっていることだろう(なんだかワニャワニャして気持ち悪いな)。なんてことを暗闇の中で考えていた。

※北朝鮮では・・・万寿台の巨大金日成主席像はあまりにも有名であるが、あれは一晩中ライトアップされている。トルクメニスタンのライトアップは何時までやってるんだろう?そして市内に存在する多くの像のうち何体がライトアップされているのだろう?

19.ルーフナーマはギギギと動かなかった。
 
独立記念塔と同じ敷地内にある巨大ルーフナーマが夜8時からギギギと動いて映像と音声が流れるという。私は大いにロキロキしながらルーフナーマモニュメントへと向かった。
 
 
これが同日夕方、アシュガバット市内の書店で買い求めた日本語版ルーフナーマである。表紙には先生の横顔、裏表紙には五頭の鷲。こうしてみるとギドラではなく鷲だということがよくわかる。
 ルーフナーマはニヤゾフ先生の人生観というのか、トルクメン民族の歴史、人生の指針のようなものが書かれている。トルクメニスタンの皆さんにはありがたいものなのだと思うが、私が読んでも実につまらない。でも内容はこの際どうでもよく、夜8時に動くルーフナーマに期待した。ところが・・・
  夜のルーフナーマ。噴水こそ動いているものの暗い・・・。でももうすぐ8時だ。その瞬間をロキロキしながら待っていると・・・

ナターシャが「ルーフナーマが動くのを待ってるのか?」と言うので「そうだよ。(てゆっかそのために来たのだ)」と答えるとナターシャは「ごめんなさい。一年前から動かなくなったんですよ。」と言う。
 

そ、そうだったのか。どうりで暗いわけだ。
 日中、ここに来た時には夜8時のギギギがあると認識していたナターシャだが、夕方一旦会社に戻ってこの話をした時に、同僚から「ハレ?1年前に終わったよ。」と言われたのだろう。

 しかしこの件から見えてくることがある。普段英語圏の観光客を案内しているだろうナターシャだが、客を8時にここに案内することは少なくともここ1年はなかった。そしてそれを希望する客もなかった。そしてこのギギギが終了したことはたいして国民の間でも話題になっておらず、更にそれほど気にしている人もいない。

 しかもナターシャによれば、ルーフナーマを読むことは国民の義務ではないという。初代存命中は聖典扱いであったろうこのルーフナーマ、代替わりしてからその存在感が急速に薄まったということだろうか?

 ルーフナーマを題材にした「shadow of the holy book」という映画があることを知った。2008年、フィンランド映画である。ここに公式サイトがあるが、「トルクメニスタン政府のプロパガンダ本であるルーフナーマを、石油と天然ガスの利権を得んがために会社の経費で自国の言語に翻訳している多国籍企業がある。それは独裁体制の維持と人権と言論の弾圧に手を貸すことである・・・」という内容らしい。ここで予告編が見られるが、ルーフナーマのギギギも出てくる。日本ではまだ公開されていないのだろうか。是非見てみたい。

 またルーフナーマはここで日本語版が少し見られる。トルクメニスタンの官営サイトのようである。

20.アザディ広場でタワ見酒

       
ナターシャとはホテルで別れた。昼食のウズベキスタン料理があまりにもボリューム満点だったため夕食をとる気にもならずホテル近くを一人で散歩することにした。中立のアーチまでは歩いて10分足らず。暑さの残るアシュガバットだが歩いて出かけた。

中立のアーチは上の画像のように色が次々に変わる。計ってみたら20秒(分ではない!!)間隔でピンク→黄色→赤→緑→青→紫と変わっていった。

 中立のアーチがある一帯をアザディ広場という。夜9時という時間帯、人出は少なかったが例によって噴水が勢いよく上がり、それはライトアップされている。

 
中立のアーチの足元(?)に潜ってみた。赤くライトアップされている。 こういった発光体がいくつも配置され、それが色を変えることによってアーチ全体の色を変えているのだ。
 中立のアーチのライトアップはあまり趣味がいいとは言えないが、見ていてあきない。アザディ広場にゴザを引いて、花見酒ならぬタワーを見ながらのタワ見酒などいかがだろうか?いやこの場合中立のアーチだからアチ見酒か?

 トルクメニスタンでゴザは売っていないだろうが絨毯なら豊富だろうから、安いのを買ってきてホントにやろうかと思ったがここは政府中枢にも近く、通報されそうなのでやめておいた。でも次回訪問時、缶ビールを持っていって中立のアーチの色の変化を楽しみながら立ったままカールスバーグを2本くらい飲む程度なら許してくれるよな!?

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