粘着ヒトデ王、仁川に現る/やっと少し仁川がわかってきた
 2008年12月28日、私は約1年ぶりに韓国仁川市を訪問した。月尾島のヒドい落書きは解消されたのか?また船好きの私にとって、短時間ながら月尾島から永宗島までの航海を堪能できるのもヨい。一年前の訪問記「キミはまだ仁川を知らない」はこちら
  1.そこまで深いのかキム・ヒョンシルに対する怨念は
 私が注目したのは、一年前に月尾島文化通りに大量に見られた落書きはどうなったかということである。落書きポイントに急いだ私が目にしたものは!?
落書き通りはこうなっていた。左が現在のもの、右が一年前のものである。床面のタイルは剥がされ、なにやら鉄柱のようなものが立っている。落書きの標的となっていた壁面は一旦分解されたあとで再び構成されたようで、当初の役割は終わって工事の外壁のような役割を担わされているのだと思う。なんだか落書きする気にもならないような脱力した風景である。
そして仁川市中区のマスコットキャラクター、ウォルディはどうなったのか?昨年は落書きだらけだったウォルディだが、一旦全部消したのだろうと思う。きれいになっていた。ただし、私はここに重大な発見をしたのである。向かって左の画像、ウォルディの彼女(?)がかけたグラサンに落書きを発見したのである。右がその拡大画像である。

実際には実名が記されているのだが、ここではモザイクをかけたうえに仮名とした。つまりこれは、パク・インシク(男性)が記名入りでキム・ヒョンシル(女性)がバカであることを明らかにしているのである。ハングルでパボと読めるが、これは最近日本でも急速に広がった言葉で、「バカ」という意味である。

通常、キム・ヒョンシルを辱める手段として落書きを選択するのなら、落書きをする側は匿名を選択するものではあるまいか?私はここにパク・インシクの特殊性を見るのである。さらに注目すべき点は、この落書きが白マジックでなされている点である。通常、落書きというものは黒マジックでなされるもので、白マジックをあえて準備したということは、当初より黒い部分への落書きが予定されていたということに他ならない。それなら黒い目の部分を選択すべきと思うが、そうではなくなぜグラサンに・・・・。

パク・インシクのキム・ヒョンシルに対する怨念は、白マジックによりグラサンへ「バカ」と書きこむという歪んだ形で噴出したのである。キム・ヒョンシルが本当にバカなのかは知る由もないが、今後、重大事件に発展しないことを祈るばかりである。それにしてもなぜ白マジックで「バカ」・・・・


しかし、私は大胆にもここにもうひとつの仮説を立てたい。ラブラブなアベック(多分中学生か高校生)が月尾島に遊びに来た。パク・インシクが彼女の名前に加え「バカ」←この場合は本当のバカではなく「このおバカさん。」みたいなラブラブなカンジ。と書いたら、キム・ヒョンシルが「せっかく来たんだからあなたの名前も書かなきゃイヤよん。私達ラブラブなんだからん。」ってなことを言ったのでパク・インシクは自分の名前も遠慮がちに小さく書き込んだ・・・このあとインシクとヒョンシルは屋台でイカを買って仲良く分けた・・・月尾島デートとはそういうものかもしれない。全く男女の機微とは理解しがたいものである。


2.粘着ヒトデ王、仁川に現る

 なんとも割り切れぬ思いを抱きつつフェリーターミナルに向かいかけた私。その時、目に飛び込んできたものは!?なっ、なんだこりゃーっ!!??

 「粘着ヒトデ王」。私がその時瞬間的に思いついた名前・・・てゆっかインスピレーションに近い。粘着ヒトデ王は、普段人目につかないよう公園の物影に隠れているが、狙った獲物が現れた瞬間、後ろから飛びかかり、背中に飛び乗るとその長い手で獲物の胸をギュウギュウと締め上げるのだ。その際、耳元で「モンモンモンモン・・・・」とくぐもった不気味な鳴き声をあげることは言うまでもない。なんだか吉田戦車の名作、「火星田マチ子」に出てくるキャラクターのようだ。恐るべし粘着ヒトデ王。

 しかし粘着ヒトデ王様が掲げている横断幕らしきものを見ると「2009世界仁川都市祝典」とある。さらに右下に置かれた小さな立て札を見てみると・・・「アルムビョリ」という名前まであることがわかった。「アルムビョリ」・・・「美しい星」、いやもっと愛称っぽくすると「うつくしぼし君」って和訳はどうだ?

 この粘着・・・じゃなかったアルムビョリは、2009年8月から10月にかけて仁川で開催される「仁川世界都市祝典」のマスコットなのだ。決して物陰から飛び掛ってきたりはしないのである。仁川市公式サイト日本語版を見ると、当初は「仁川世界都市EXPO」という名称だったのが使えなくなってしまったようである。その経緯はよくわからんがまあそういうことである。そして祝典公式サイトまであるではないか。日本語版はここ

サイトで見る粘着ヒトデ王は、体の最上部の緑色の部分に細い目らしきものがあり、しかも微笑んでいるようにさえ見える。

←現物(と言うのか?)に書き込んでみた。ほれ。全く印象が違うだろう。ナゾの生命体が急に親しげに見えたではないか。

月尾島文化通りの往来のド真ん中にありながら落書きの標的にさえなっていない粘着ヒトデ王。現物に目が書き込まれていない理由のひとつに、ナゾの生命体に見せることで落書きを防止しようという仁川市の深謀遠慮があるのではないか。いきなり飛びかかられたらイヤだもんな。うん。きっとそうに違いない。エラいぞ仁川市。
この種のイベントには全く興味がわかないオレだが、仁川世界都市祝典には行こうと思う。もちろん目的はアルムビョリ、いや粘着ヒトデ王に会うことだ。是非ツーショット写真などお願いしたい。その時、耳元で「粘着ヒトデ王・・・」と日本語でささやいてやるのだ。

3.ちょっと寒いぞ巨済アイランド号

 前回の乗船時には所有船舶が4隻あったポソンフェリーだったが、久しぶりに公式サイトをのぞくと3隻に減っていた。横から見て左右対称型の、香港スターフェリーを3回りぐらい大きくして扁平にしたような形の船が2隻なくなり、「巨済アイランド」というやや小型の船が加わっていたのだ。今回はその巨済アイランド号に乗船する機会があった。
中に入ると・・・ん?・・・こっ、これはっ!?なんと本来吹きさらしの船内に、ビニールが張られていたのだ。
そして船内にはこんなものが吊るされていた。まっ、まさか万が一の時にはこれにしがみつけと・・・いうわけではなかった。この保温材ですきまを埋めていたのである。なんてお客さん思いなんだろう。涙出てきた。
このヒーターで暖を取れと。ううううう・・・・この路線にはもう1隻、ヨンジュ6号というはるかに大きな船が就航しているのだが、同じ料金でこの違いは・・ってなヤボは言わないことにした。わずか15分の航海、多少のすきま風は我慢すればよい。
誇らしげに掲げられた「巨済アイランド」の船名。巨済とは慶尚南道にある巨済島のことだろうが、以前はそちらで働いていたのかと思い、ネットで探してみたらやっぱりそうだった。プンヤンフェリーという船会社に在籍当時のものがここで見られる。当時は本土と巨済島を結ぶ役割を果たしていたのだ。今回私が利用した吹きさらし部分が「3階休憩室」として紹介されている。

韓国は実は島の多い国である。中小のフェリー会社がたくさんあり、それぞれが公式サイトを持っているのだと思う。以前巨済アイランド号が所属していたヨンプンフェリーには、なんと会員制の「アイランドクラブ」があり、さらにマイレージまであるのである。ここのオープニングフラッシュにそのカードが出てくる。フェリー利用時にその会員番号を言うだけで自動的にマイルが蓄積されるのだという。


仁川市/月尾島は今回も様々な顔を見せてくれた。粘着ヒトデ王・・・2009年開催の仁川世界都市祝典の成功を祈らずにはいられない。仁川がほんの少しだけわかってきた・・・そんな気がした年の暮れだった。(2008年12月28日訪問)