私の首領(ドン)北京平壌柳京餐庁(平壌柳京食堂)訪問記
1.果てしなきロックファイヤー
平壌館の崔接待員同志のお言葉により、よくわからんままに柳京を探しに出た。9月1日の北京はまだ暑い。言われた通りに永安賓館の角を曲がって、あとは右側に注意しながら真っ直ぐ歩けばいいことになっているのだが、その「真っ直ぐ」がどの程度なのかわからんのだ。
まあここは長期戦を覚悟して、タラタラと歩くことにした。15分程度歩いたあたりで大きな交差点に出たのでタクシーを止め、「柳京餐庁を知っているか?」と聞いたが知らんという。全部で3台止めたがみな知らんそうな。諦めてもう少し歩くことにする。15分程度しか歩いていないとはいえ、いつ終わるかわからんというのが心理的にイヤなワケよ。
そしたら突然「女人街」と書かれた看板が目に飛び込んできた。「なんだありゃ?」でも何となく元気になって足の運びも速くなってしまった。果てしなく続くかと思われる柳京探しだが、なんとなく楽しくなって来た。
これが女人街の看板。女性向けのショッピングモールであることが後でわかった。皆の衆が想像したようなヘンなところでは断じてない。でもちょっと残念。
2.あなたがここにいてほしい
女人街が近くなって来た。そしたら女人街の道路を挟んだ反対側に今度は「上島珈琲」と書かれた喫茶店が。これは最近中国でよく見るのだが、日本のUCCとは関係がない。たぶん。どうもここはいろんなお店が集まったレストラン街みたいなカンジなんだなと思いつつ、軽く通り過ぎようと思ったら「東方七彩」というアーチ型の看板が現れ、その奥を見るとなにやらハングルの看板が・・・ ほら、左の画像の一番奥を見ると・・・
おおおっ!!赤いハングルで「平壌柳京冷麺」と書かれているではないかっ!!さらにその横には緑の字で「パラダイスルームサロン」となっ!!イイっ!!なんだかわからんが妙に嬉しい。手前には「一竹」というたぶん和食のお店の看板が見えるが、「竹」の字がヘンだ。
よ、よかった。20分あまりで辿り着くことができた。平壌柳京冷麺はここにいたのだ。
中に入ると広い!ここは広い!!100人・・・じゃあすまんな。150名くらい入れるのでは?だってステージがはるか彼方にかすんで見えるのだ。午後1時40分というほぼ昼メシ終息タイムのため客は20名ほど。私も先ほど平壌館で満腹になったばかりなので、責任者らしき愛想のいいオバさん(バッジつけてる)に「夜は何時からやるの?」と聞いたら、「特に閉めないから何時でもおいで。」とのこと。なるほどここは単独ではなくショッピングモールの中に位置しているわけなので、まあボチボチとお客は入ってくるんだな。
つまりこういうカンジで、向かって左に見える青い看板ががショピングモールなワケだな(左画像)。
定番の人共旗カラーの看板。「柳」と「京」が離れているのはその中間に自動ドアのセンサーがあるからだろう(中画像)。
気になるのはこの「ルームサロン」の看板。何かって?フフ・・・今にわかるって(右画像)。
とりあえず時間帯もアレだし、夜になったら歌も聞けるだろうと思ったんで一旦ホテルに戻って休憩することにした。「お店の名刺ください。」って言ったら30枚くらいくれそうになったんだがいくらなんでも多すぎるので3枚で遠慮しといた。
で、部屋に戻ってちょっと寝たのだがバカなことに予定外に熟睡してしまい、目が覚めた時にはもう暗くなっていた。あわててバスと地下鉄とタクシーを乗り継いで柳京に向かった。昼に来たときは気づかなかったのだが、ケンピンスキーホテル(ここの1階のビアレストラン「PAULA BRAUHAUS」のビールはおいしい)から歩いて行ける距離だったんだな。
再び柳京についたらもう8時10分。ちょうどステージで二人の接待員同志が歌っているところだった。バカだ。もっと早くくるべきだった。結局2曲しか聞けず。でもまあ聞けただけよかったか
聞けた内の1曲目「都市の女性農村にお嫁に行く」ボケボケなのは息が荒れていたのと私の写真がヘタだってことでどうかひとつ・・・
2曲目、「統一の虹」。ちょうど「トンイルム〜ジゲ〜」とやってるところ。一人しかいないのは相方が下に降りて韓国人観光客と握手していたから。
上の画像でわかるように制服は2種類。青と黄色である。やがて注文をとりに来たのは「廉接待員同志」であった。か、可愛い・・・。スマン画像はない。しかしここでも同日の昼に行った平壌館とおんなじ質問が・・・・
「お一人でいらっしゃったのですか?お客様。」
や、やっぱしきかれた・・・・。
「そうだよ。」
と答えると、更に
「どうしてお一人なのですか?」
フフン。予想とおりだよん。こういう時のためにさっき、言い訳を考えておいたのだ。
「急に時間ができたので一人できたんだ。」
これで納得してくれたようだ。よかった。で、ササッと軽めの料理を注文して、接待員同志の数は7名なんてことを聞いて、店内を観察することにする。
こんなカンジ。左の画像は韓国人観光客とおぼしき男性。しきりに接待員同志になにやら話しかけていた。中央は店内に設置されたモニター。踊りや歌のライブ映像を流していた。右は掛け軸。小さく「朝鮮 平壌」と書かれている。持ってきたんだろう。中央のモニターの横に見えるのはデカいフカヒレなんだが、これは中華レストランではよく見る。多分以前そうだったんだろう。
北レス調査では料理は対象外としているが、ここのチジミはとってもおいしかった。右上に見えるイカの辛し炒め(オジンオボックム)は私の好物なんだが、北レスの味付けはあんまり辛くない。これはどこの北レスも同じ。私はビールが好きなんだがこの日の燕京ビールの純生。できれば日本のビール、それもキリンの一番搾りがいいなあ。中国で売ってる日本のビールの中で、これだけは全世界統一品質なんですよ。他は全く味が違う。
一番右の女性はさっきステージで歌ってた女性で、任(イム)接待員同志というのだが、どうして女性の写真はブレてしまうのかという疑問はさておき、さっきの廉接待員同志に替わって、後半私の相手をしてくれた。しかしこれが波紋を呼ぶことに・・・私の北レス調査史上初の、そして今のところ最大の危機が・・・
4.私の首領
♪私の首領と呼ばせてくだあさいい〜い〜い〜 わたあしのっ、私の首領と呼ばせてくだあさい〜。♪
「私の首領」と書いて「わたしのドン」と読む。決して「わたしのしゅりょう」と読んではいけない。さらに朝鮮語読みで「わたしのスリョン」とか、敬称をつけて「わたしのスリョンニム」とか読んでもいけない。ナゼなら北レス的には極めて不敬だからである。
「私の首領」は昭和53年にデビューした石野真子の2ndシングル。ちなみに作曲は吉田拓郎。名曲である。石野真子とデートする機会があったら是非一度北レスに連れて行き、特別にステージで「私の首領」を歌わせて接待員同志の反応を見たいものである。日本語わからないだろうけど。
ところでビールが回っていい気分になった頃に任(イム)接待員同志がやってきた。
「一人でいらっしゃったのですか、お客様。」・・・ま、またかよと内心思いつつも、次は「どうしてお一人なのですか、お客様。」と言うだろうな〜と思っていたら、
「どうしてお一人なのですか、お客さま。」・・・や、やっぱりそうか。で、例によって「急に時間ができたんで・・・」ってなことを言ってゴマかしたのだった。そうすると今度は
「どうして朝鮮語がおできになるのですか?」
さらに胸に付けた名札を指差し、読んでみろという。私が「任○×」と読んでみせると、「おおっ。」と軽く驚いてみせ、
「どちらで勉強されたのですか?」・・・ってなけっこうEカンジでお話できたのよ。で、下の画像が任接待員同志なのだが、よ〜く見るとほら、アレがないでしょアレが。
わかった?バッジがないでしょ。胸についているのは顔写真付の名札で、千里馬の絵が描かれている。当然不思議なんで「どうして?」って聞いたら、私の想像というか期待というかそういったものをはるかに超えるお答えが返ってきたのだ。
「私どもはレストランで働いています。肉を焼くと、当然煙が出ます。その煙が首領様のお顔にかかってしまうと、
首領様がお煙たがりになるからここではつけないのです。」
おおおっ!!♪私の首領と呼ばせてくだあさい〜い〜い〜。♪わたあしのっ、私の首領と呼ばせてくだあさい〜♪この場合っ、「首領」を「しゅりょう」と読んでもよしっ!!私は数秒間金縛りにあってしまって身動きさえとれなかったッスよ。じゃあ他の北レスの接待員同志は不敬なのかとかトイレ行くときもはずさなきゃいけないのかとか、そういった疑問はとりあえずおいといて、「私の首領」マンセー!!石野真子マンセー!!
任接待員同志。
5.禁じられた夜
2003年8月31日訪問