粘着ヒトデ王の最期/仁川世界都市祝典はちょっとだけ北朝鮮っぽかった
 最近、仁川を訪ねることが多くなったように思う。仁川はそれほど見所の多い街ではないのだが、2008年12月28日に訪問した月尾島で発見した粘着ヒトデ王は私をロキッとさせた。この粘着ヒトデ王、本名は「アルムビョリ(美しい星の意)」といって、2009年8月から10月にかけて開催される「2009仁川世界都市祝典」のイメージキャラクターである。しかしオレにはヒトデにしか見えない。

 今回の旅は粘着ヒトデ王の着ぐるみの耳元(に相当する部分)に「粘着ヒトデ王」・・・とささやいてやり、自分がアルムビョリなどではなく粘着ヒトデ王なのだと自覚させることが目的であった。私と粘着ヒトデ王との出会いはここ
 
 1.いきなり出現!!粘着ヒトデ王
 仁川空港から空港鉄道に乗るとそこにはすでに粘着ヒトデ王がオレを待ち構えていた。挑発しているのかオレを。
韓国当代ナンバーワンアイドル、“少女時代”のヘソのあたりに鎮座する粘着ヒトデ王。幸せそうだ。
会場の最寄り駅、仁川地下鉄セントラルパーク駅に着くと、粘着ヒトデ王が。・・・・ふ。いい気なものだ。これからオレに粘着ヒトデ王呼ばわりされることも知らずに・・・・。繰り返し言うがお前は粘着ヒトデ王だ。アルムビョリなどではない。
   
 地下鉄の駅を降りるとすぐにこういう光景が広がっている。左は中央アジアのバザール・・・ではなく屋外食堂街だ。9月の土曜日の11時過ぎにしては寂しい光景だ。右は会場の中。ヒトデじゃなかった人出が少なくやや寂しいカンジ。

2.どこにいるんだ粘着ヒトデ王は

 デジタルアート館がどうしたとかハイテクプラザが必見とかそんなことはどうでもヨい。狙うは粘着ヒトデ王の首ひとつ。暑さの残る仁川であったが私は粘着ヒトデ王を会場内くまなく探し回った。どこなんだ粘着ヒトデ王は!?
   
 こういったバルーン型の粘着ヒトデ王はいたるところに存在する。しかしオレが捜し求めているのは着ぐるみだ。粘着ヒトデ王の耳元で「粘着ヒトデ王」とささやいてやるのが目的だからな。 得意げに横断幕を掲げる粘着ヒトデ王。仁川“花”展示会も兼ねているということを知ったが、オレにはゆっくり花を見る余裕などないのだ。いったいどこなんだヒトデ王は!!
   
 おおっ!!粘着ヒトデ王お遊び広場!!ここで粘着ヒトデ王が子供達に愛想を振りまいているかと思ったがやっぱしいない。オレを恐れているのか粘着ヒトデ王。  ヒトデ界のみならず人類の頂点に立ったかのように誇らしげな粘着ヒトデ王。この“粘着ヒトデ王太陽の像”は太陽の方向に合わせて24時間で一回転するのだ(そんなわきゃない)。

3.敵前逃亡か粘着ヒトデ王

 会場をくまなく回ったオレ。さすがに疲れてきた。ふと気がつくと目の前に世界都市館が。そうだ関係者に聞いてみよう。中に入ると赤いコスチュームに身を包んだコンパニオンが二人。

オレ「アルムビョリに会いたいんですが。」
コンパニオン「会いたい・・・んですか?」
オレ「そう。動いているアルムビョリに会いたいんです。」
コンパニオン「ツーショット写真撮りたいんですか(クスッ)。」
オレ「あ、そうそう。そうなんですよ。」
コンパニオン「残念ながら着ぐるみのアルムビョリはいないんですよ(ちょっとすまなそうな表情)。」

 そ、そうだったのか・・・・。着ぐるみの粘着ヒトデ王が絶対にいるはずというのはオレの思い込みに過ぎなかった。「粘着ヒトデ王」と耳元でささやいてやるというオレの野望はもろくも砕け散ってしまった。失望感の中、せっかくなんで世界都市館をのぞいてみることにした。

おお。“中国で最も美しい国境都市”って丹東も出展してるのか。  その丹東からやってきた担当者(たぶん)のオヤジ。パソに向かって何事か考え込んでいるわけではなく寝ているだけ。
おなじみの中朝友誼橋が見える。いつ見ても美しいトラス橋である。  対岸は北朝鮮。なんだかナニゲに北朝鮮っぽいむんいきになってきた。
  
 4.延辺も出展していた。そして・・・

 この世界都市館には中国の都市も多く参加していたのだ。この他に青島や煙台も出展していた。そして・・・おおっ!!延辺朝鮮族自治州も参加しているではないかっ!!
   
 おおっ。中国延辺の赤い文字が誇らしげに躍動している。  おおおっ!!和龍!!延辺の中では地味なイメージがある和龍市だが、やっとやる気出したのか!?バックの縦じまも朝鮮っぽい。
   
 図們江を渡って北朝鮮に向かうトラックの列が見える(これは絵)  白頭山天池。よく見ると滝まで作ってある。溢れる手作り感がヨい。
   
 おおおっ!!出るぞ出るぞと思っていたらやっぱし出た!!和龍のPRビデオが流れていたが突然北朝鮮の旗が!!北朝鮮との辺境貿易を宣伝しているのである。  和龍側の地名が「古城里」であることがハッキリとわかる。

5.どこへ行こうというのか仁川市は

  和龍市の登場によってなんだか急に北朝鮮っぽいむんいきになってきた。粘着ヒトデ王の敵前逃亡も許してやろうという気持ちになってきた。微妙な満足感と共に会場を後にしたオレであった。

   
 これは会場近くで目撃した粘着ヒトデ王。文化大革命的に吊るし上げられ、その存在を否定されているわけではない。車両進入禁止の看板である。それにしてもなぜ顔が絵文字?こういうケンチャナヨっぽさが韓国っぽくていいよなあ  会場近くは建設ラッシュ。なんだか現実離れした光景だが本物である。新しい経済エリアとして発展させようという意気込みは伝わってくるわな。

 仁川市は“東北アジアのビジネスの中心”を目指して「自由経済区域」を作ったという。ちょうどこのエリアがそれに相当するわけだが、外資が順調にしかも安定的に流入しないとちょっとムリなんじゃないだろうか。他国の他都市のこととはいえ、韓国っぽくテキトーにケンチャナヨに計画しているようでなんだか心配である。そういえば先日仁川大橋開通のニュースがあったがそれもこのエリアである。



6.閑散エリアでこの繁盛ぶり

 この日は仁川空港からタシケントに向かう日だったので空港で食事をしたのだが、「本平壌」という北朝鮮っぽい名前の韓国料理店があるとのことで行ってみた。ところが所在地は空港鉄道A'REX入り口近く。仁川空港屈指の閑散エリアである。ひょっとしてもう閉店・・・?なんてことを考えながら行ってみると・・・。

   
 午後2時という時間帯にも関わらず繁盛していた。ちょうどアシアナのスッチー達が入ってくるところ。  ピビム冷麺おいしかった。空港関係者ご用達の模様。
  看板を拡大してみた。この「本平壌」、奇妙なことにハングル表記が「ポンピヤン」としか読めない。何かいわれがあるはずだがそれは次回確認したい。店内に「ピョクチェカルビ直営」との表記もあったので、そこを見ればわかるかとも思ったが、2009年10月現在現在見られない。なぜ「ピョンヤン」ではなく「ピヤン」・・・・ナゾだ。 

 仁川世界都市祝典では粘着ヒトデ王に会えず、いささかの落胆を禁じえない私であったが、延辺朝鮮族自治州和龍市の展示の中に北朝鮮を発見し、仁川空港でもおいしい北朝鮮っぽい冷麺を食べてロキロキした。この後空港のサウナで一汗流してタシケントへ旅立った。やっぱし仁川空港ヨいわ。仁川世界都市祝典は2009年10月25日で閉幕。粘着ヒトデ王も仁川から海底へと帰っていくのであろう。オレの企みなど永遠に知ることもなく。(2009年9月20日訪問)