上海青柳飯店訪問記

1.美しき誤解

 3月6日、建国賓館内玉流酒家で桂同志を初めとする接待員同志達の歓待にいたく満足した私は、同じく玉流酒家の韓同志からの情報により、翌日もう一つの北レス、「青柳飯店」を訪問することにした。

 場所は虹橋開発区、百盛百貨店5階と聞いていたのでこれほどラクな場所探しはない。でも「開発区」と聞いて大連のように市内からやや離れた場所を想像していた私だが、行ってみれば延安西路から降りてそれほど走らない。ジェトロが入っている「国貿中心」から歩いて行ける距離である。なあんだ。オレがジェトロだったら毎日通うのに。

 実は韓同志の発音から、私は店名を「清流飯店」と予想していた。平壌には「清流館」という船の形をした有名なレストランが存在し、そこからの派遣だろうと勝手に考えていたのである。 しかし実際に行ってみると、いきなりこの看板↓

青柳飯店!?ちょっと違うんじゃないか?でもまあそんなことは後にして中に入る。夕方6時という時間帯であったが、8割方埋まっており、韓国人客が多かった。

本当はステージの近くが良かったのだがすでに埋まっており、奥の小上がりに案内された。ステージから遠くてちょっと残念。

 私は店名をこう考えていた。「清流」と「青柳」は発音が同じ。本来は「清流」なのだが、中国出店にあたって中国人スタッフ(多分朝鮮族)に相談したところ「平壌は『柳京』と呼ばれるほど柳が綺麗なところだから「青柳」とつけてしまったのだと。いや、でもそれは私の傲慢というものだと酔っ払うにしたがい思うようになった。上記の看板も接待員同志のバックに見えるのは多分万景台だが、下部に見えるのは柳の木ではないか。うん。これはやはり彼女たちが親しんだ「柳の木=青柳」にちなんでつけた店名なのだとそう思うことにした。ただ「青柳」と漢字表記すると朝鮮語ではなく中国語チックな感じがする(これは同僚の朝鮮族も同意見)。

2.LOVE&HONESTY

 北朝鮮&韓国&延辺と付き合ってもう長いのだが、時代は変わったもんだ。だってつい最近まで「ハングル検定受けてる。」って言えばヘンな顔をされたし、カラオケで韓国語曲を歌えばそれこそ変人扱いされたもんだ。でも最近は違う。社内LANのメールで「韓国語を始めたいが何から手を付ければいいのか?」と質問されるし、カラオケでBoAの曲を歌えば尊敬されるぞ!!しかも日本語字幕なのに韓国語で歌うのがポイントだ!!でも勉強してて一番良かったと感じるのは北レス行った時だ!!

 接待員同志がメニューを持ってやって来て、注文を取る。この時に朝鮮語で注文すると、まあだいたい「朝鮮語おできになるんですか?お上手ですね。」ってなことになるわな。「はい。少し話します。」「在日同胞ですか?」「いえ。日本人ですよ。」ってな話になって、ここでグッと距離が縮まるわけだな。うん。私は身分を偽るつもりはないのだが、もしここで「在日だよ。」と言えばどんな反応が返って来るのかは研究の余地があるが。で、この日接客してくれたのはこの朴同志である。

 

(左)快く写真撮影に応じる朴同志。
(右)けなげかつ主体的にまぜまぜ事業を遂行する朴同志。
  北レス接待員は皆けなげだ。

 朴同志はとても礼儀正しい。「朝鮮語おできになるんですか?お上手ですね。」と言ってくれた。やっぱし朝鮮語勉強しててよかった(涙)。この日はオジンオボックム(イカ辛し炒め)をメインに指定。姉妹店の玉流酒家と共に、イカ辛し炒め本体とゆでうどんを混ぜて食べるスタイルだったが、焦って自分でまぜまぜしてはいけないぞっ!!なぜなら接待員同志が主体的にまぜまぜしてくれるからだっ!!やっぱしBoAより北レスだな。BoAはまぜまぜしてくんないもんな。見よ上の画像を!!オレなんか玉流酒家で勝手にまぜまぜしたら接待員同志から「申し訳ございませんお客様。」と謝られてしまったぞ!!「!!」ばっかりだぞ!!

 ここでのポイントは北レス接待員同志の写真撮影は基本的にはOKだということだ。マナーとして一言断るべきではあるが。ただしニキビ顔の場合は恥じらいつつも断られる場合がある。わが国ではニキビは青春のシンボルってなことになっているが(古いか?)かの地ではそういった許容事由にはならないらしく、でもまあ若い女性なら気になるわな。

 

(左)客とのツーショットに気軽に応じる朴同志。
(右)間奏時にカメラを向けると目線上手コちゃんの朴同志。
  熱唱の合間にもこの笑顔。



3.俺はお前に弱いんだ

 都市型北レス。それは青柳飯店の最大の特徴である。百盛百貨店(たしかシンガポール資本)の5階にあるということは自然と豊かな商品に触れるということであり、祖国と中国の物質的差異に気づくということでもある。彼女たちはこういう現実をどう思っているだろうかということが大いに気になるのではあるが、そういったことはとりあえず口には出さなかった。

 そしてデパートの中にあるということは、一見のお客さんをも引き付ける必要があるというわけで、このページ最上部にある看板の画像は店頭に出ているものであるが、こういった美人接待員がいるんだよーということを前面に出した宣伝も必要なのだろう。

この名刺の特徴は、接待員同志が楽器やマイクを持っているということである。顔写真が掲載されている名刺は他店でも見かけるが、歌や演奏を前面に出したものは今のところここだけである。朴同志は2月に来たばっかしなんでまだ姿がないって言ってた。
 左から二人目の同志は簡単な日本語を話すが、一人で学んだのだそうだ。「あんまり上手なんで金日成総合大学で勉強したのかと思った。」といってあげたら朴同志と二人で笑っていた(カワイイ)。


4.後日談

 この2週間後、私は平壌を訪問した。デジカメ画像をそのまま残して「みなさんの同志達は中国でこうして頑張っているんですよ。」と現地人に見せてあげて話題にしようと思ったのだ。ところがなんとここで紹介している朴同志を知っているという人と偶然知り合い、画像と動画を見せてあげたらとてもとても喜んでいた。世の中狭いもんである。

                                 (2004年3月2日、6日訪問)

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