瀋陽コリアタウン・西塔を2年ぶりに歩く

1.中国NO.1コリアタウンはここなのだ

 中国NO.1コリアタウンである瀋陽市西塔に初めて行ったのは99年だったと思う。当時は北レスも平壌館一軒しかなく、その平壌館ものちに第一平壌館と名前を変え、その後取り壊されている。現在の平壌館は元々第二平壌館という名前だったのが、第一平壌館の閉鎖に伴い平壌館を名乗ることになったのである。

 今回、2年ぶりに西塔を訪問した。北レスの動向を調査することももちろんだが、何よりも街の雰囲気を味わいに行ったのである。今回の宿泊は七宝山ホテル。今回てゆっか瀋陽ではいつもそこである。北朝鮮資本が入っており、北朝鮮のテレビが見られるホテルである。滞在記はここ

 タクシーで運転手に「西塔朝鮮族百貨店」と告げる。西塔歩きはいつもここから始めることに決めているのだ。

 朝鮮族百貨店は外装も内装も綺麗になっていた。1階で韓国製と北朝鮮製のVCDや音楽CDを売っているのは改装前と同じ。それ以外は特に見るべきものはないのだが、1階のチマチョゴリ売り場の品揃えは鮮やか。外からも見えるようになっている。

 新華書店の看板は中国語とハングルの二本立てだ。延辺朝鮮族自治州を除くとここだけではないか?以前は労働新聞や月刊誌の画報朝鮮など置いていたのだが、北朝鮮の本は単行本しか見かけなかった。行く度に北朝鮮本の存在感は薄くなっていくような気がする。ご当地朝鮮語紙の「朝鮮文報」を5角(約7円)で買った。
2.北レス廃線巡り

 西塔歩きのメインはなんといっても北レス。平壌館1階と東妙香山1階には北カフェもあるので街歩きに疲れたら一休みすればヨイ。調査の結果、変わらず営業しているのは下記4軒と判明した。
まずは平壌館。1月2日朝10時にはすでに大音響で北POPを流していた。1階の入り口には子供の写真が飾ってある(画像提供:虹男同志)。次が牡丹館。次が妙香山。元日の午後5時に訪ねたら、早い時間にも関わらず数組の北朝鮮っぽいお客さんが食事をしていた。瀋陽駐在者のために内輪で営業していたのかもしれない。もう一軒の健在組、東妙香山はレポをご参照のこと。そして惜しくも閉店していたのは下記5軒である。
満腹と戦った思い出が懐かしい金剛山はこうなっていた。中央にあった入り口の門も取り払われ、無残な姿を晒していた。「密陽園」という名のレストランになっていたようだが、それも既に営業していないように見えた。
水晶館。薬屋さんになっていた。入り口の門と瓦屋根に面影を留めているが、店内を覗くと北レスだった形跡は全くない!!結局一度も食事できなかった。
アリラン。「朝鮮儀礼宮」になっていた。ただ北レス時代の看板にも同じ文言が書かれており、一時的に北レス化していたのかもしんない。なんだか鉄道の廃線跡をめぐっているような、そんな気分になってきた。
七星食堂。平壌館の向かいに存在するのだが、営業している気配は全くない。以前「朝鮮族ニュース」で、この七星食堂が「北朝鮮が国家的に投資・経営している」と書いており、北レスではあったのだろうが、短命だったんだろうたぶん。左端の画像に人共旗が見え、北レスであったことがわかる。2枚目は内部を撮影したもの。朝鮮画っぽいが、どこの景色だろうか。3枚目、夜の七星食堂。・・・暗い。営業していないんで当たり前だが、明るさ補正してもこの暗さである。4枚目、そんなこと言われてもなあ・・・

 この他に綾羅島という北レスが地球の歩き方で紹介されているが、これも閉店(東妙香山朴同志の証言)。祖国を離れて資本主義的な競争を繰り広げている瀋陽の北レスだが、撤退の理由が採算にあるとすればやはりキビしい競争が繰り広げられているんだろうな。

3.ナゾの朝鮮美術作品展示場

 ところで今回の西塔調査で初めて発見したのが、この「朝鮮美術作品展示場」であった。朝鮮族儀礼宮の隣に存在するこの展示場、1階に入ると守衛室の上にこんなプレートが掲げられていた。
 左端、「朝鮮平壌名人達の美術展覧会」と書かれている。1階と3階にあるとか。守衛のオジさんに「いつから営業してるんですか?」と問うと「不知道=知らない」。このオヤジ、いやおじさん、全くやる気がない。てゆっか本当に知らないのだろう。フロアには風景画とか虎とか美人画とか。一番目についたのはこの金剛山の朝鮮画である。デカい。右端にはこの画の説明として「朝鮮画(アクリル画)天下の名山金剛山」と書かれている。へーっ。これってアクリルだったのか。爪でコツコツしてみたかったが遠慮した。
 3階に上がってみた。こっちにも看板が。北朝鮮側は「大同江交流社」、中国側は「瀋陽朝鮮族文化芸術官(館?)」が運営していることがわかる。最初、2枚目の突き当たりがそれだろうと思ったら、朝鮮族芸術訓練センターであった。ピアノの音が聞こえていた。朝鮮美術展覧場は手前のシャッターの中にあるのだった。営業は10時から20時と看板に書かれているが、元日も2日の午前も開いていなかった。さっきのおじさんが上がってきたので「あの〜・・・今日は営業していないんですか?」と問うと「不知道。」やっぱりそうか。

 そういうわけで、シャッターの奥には何があるのか全く不明。今んところナゾ。普段は北朝鮮から来た人が店番をしていて、革命画を売っているというのを希望。

                              (2006年1月1日夕方、1月2日午前探訪)

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