あんでんだ・CAPTAIN北レス道中記/コーヒーバカ一代実践篇

 4月15日とは言うまでもなく故金日成主席の生誕記念日=太陽節である。北レス接待員同志達にとって特別な日であるこの日、私は北京を訪問。かねてから北京北レス事情に深い関心を寄せている北京在住のCAPTAIN同志と共に、最近韓国人の進出著しい望京地区の北カフェ兼北酒場(細川たかしかってーの)「大成山館」を訪問したのだった。


1.ロイヤルコーヒーと平壌コーヒー

あ「いやー、遂に来た。なんだか嬉しいな。望京地区も始めてだし。なによりも今日はコーヒーバトルを挑むことに決めているしな(前回のレポ参照)」
C「今日は太陽節ですしね。」
あ「その割りに客が一人もいないな。」
C「午後2時半という時間帯ではムリないですけどね。」

 この時間帯はヒマなようで、カウンターに鄭同志が入り、フロアは呉同志が担当するという二人体制だった。

 実は以前ここを訪問した経験のある「ぽちょんぼ特派員同志」より、「ロイヤルコーヒーを注文すると楽しい芸が見られる」との情報を得ており、まずはそれと、平壌コーヒーを注文したのだった。
  

あ「おおおおお!!こ、これはっ!!」
C「これは日本ではカフェロワイヤルと呼んでいるものです。角砂糖にブランデーを染み込ませ、ライターで火をつける。なかなかの芸ではありますね。」

あ「そしてこれが夢にまで見た平壌コーヒーか・・・ラテなんだがチョコで字が書かれているわけだな。以前CAPTAIN同志からもらった画像をアップしたら、韓国某大手新聞社が勝手に持っていったことがあったな。」
C「上手な字ですよね。」


2.開城コーヒー

あ「よし。これからが本番だな。平壌コーヒーが可能なら理論的には開城コーヒーも元山コーヒーも可能なはず。」
C「なんだかロキロキしてきましたね。」
あ「よーしいくぞー。こちらお願いしまーす。」

〜奥から鄭接待員同志登場〜

鄭同志「お呼びでしたか?」
あ「あ、あの今度は平壌ではなく開城コーヒーにしてくれませんか?」
鄭同志「・・・・?」
あ「つ、つまりその・・・・」
鄭同志「平壌と書いたように開城と書けばよろしいのでしょうか?」
あ「う、うん。そうです。」
鄭同志「・・・・・かしこまりました・・・・。」

C「・・・あの同志、怒ってませんでしたか?」
あ「そ、そんなわきゃないよ(汗)。」
C「その割りにあんでんださんもビビってましたね。」
あ「き、きっと突然の出来事にとまどっていただけなのだ。きっとそうさ。」

〜数分後〜

呉同志「お待たせしました。」
あ・C「おおおおおおおおっ!!」
 
これぞ本邦初、世界に一つしかない開城コーヒーの完成である。

あ「よ、よかった。我々の誠意が伝わったんだよきっと。」
C「やっぱり嬉しいもんですね。」
あ「なんだか混ぜるのもったいないけど混ぜちゃお(向かって右がそれ)。」
C「反革命的な気分ですね。」

3.元山コーヒー

あ「どんどん行こうどんどん。」
C「ノッて来ましたね。」

あ「なんつってもこのコーヒーバトルは真剣勝負なんだから。」
C「この企画ってそんなに真面目だったんですか(笑)。」
あ「次どうする?元山なんかいいんじゃないか?」

C「地名シリーズですね。(呉同志に向かって)次は元山コーヒーお願いします。」
あ「CAPTAIN同志は海が好きなんで、海のある元山コーヒーって理屈づけだな。」

〜数分後〜

呉同志「お待たせしました。」
あ・C「おおおおおおっ!!」
 
ウォンサンコーヒーの完成である。北朝鮮の日本海側に位置する元山の人民達は、今、この瞬間北京の北カフェで自分達の街の名が付けられたコーヒーが、日本人の気まぐれで、い、いや真剣勝負によって作られ、飲まれようとしているなど、想像もつかないに違いない。

C「あ、甘いですねちょっと。」
あ「横からみればよくわかるけど、これって多層構造になってるんだな。よく混ぜなきゃな。」

4.金剛山コーヒー

あ「次は趣向を変えたいな。」
C「三文字行ってみますか。」
あ「北朝鮮を代表する名山“金剛山”しかないだろうな。呉同志〜!!」

この頃から呉同志に注文を告げると、呉同志がカウンターに行って鄭同志に「金剛山」と告げるだけでその意図が伝わるようになっていた。それまでは「お客様が○○と書いて欲しいとおっしゃっています。」とその都度説明していたのだが。


呉同志「お待たせしました。」
あ・C「おおおおおおっ!!」

三文字はこの大成山館開業以来初だろう。新たな地平を切り開いたのかあんでんだ&CAPTAIN。しかも金剛山は天下の名山。それを飲み干すなどめったにできるものではない。

5.白頭山コーヒー

C「どこ行ってたんですか。」
あ「ちょっとカウンターまで。」
C「朝鮮語でダベっていたとか。」
あ「いや、文字を書いているところを写真に取らせてほしいと言ったら、書く時に呼んでくれるって。」
C「おお。楽しみですね。」

〜数分後、鄭同志登場〜

鄭同志「お待たせしました。」
あ「ハレ!!話がうまく通じてなかったか?呼んでくれるって言ってたけどなあ。」
鄭同志「こちらで書いて差し上げます。」
あ・C「おおおおおおおっ!!」
   
なんという親切!!さすがは北カフェである。向かって左から右への画像で完成の過程がわかる。頑張れ鄭同志!!もう少しだ!!ちなみにこの鄭同志は夜の公演ではエレクトーンを担当しているのであ〜る。手先が器用なんだろうな。白頭山コーヒー完成時には思わず拍手してしまった。この瞬間、白頭山コーヒーは我々を一つにしたのだった。♪ハナ〜ウリヌンハナ〜♪

C「あんでんだ同志、私なんだか泣けてきましたよ。」
あ「心って通じるもんだよな。。韓国某大手新聞社もここまでやってみろってんだい!!」
C「あの件、けっこう根に持ってたんですね。」
あ「そもそもヤツらはけしからんよなあ。だいたいマスメディアってものはだなあ・・」
C「なんだか長くなりそうだなあ・・・」
あ「で、次何にする?」
C「切り替えもけっこう早いんですね(笑)。」

6.妙香山コーヒー

C「次は当然三大名山のラスト、妙香山でしょうね。」
あ「それはやや安易ではないか?」
C「どうしたんですか突然。」
あ「北朝鮮には九月山、七宝山といった名山もあるわけだ。ここは同志の意見を聞いてみようではないか。」
C「急に民主主義的になるんですね。」

〜呉同志登場〜
呉同志「お呼びでしょうか?」

あ「これまで金剛山、白頭山と来たワケだけど、呉同志は他にどんな山が好き?。」
呉同志「私は子供の頃、妙香山に行ったことがあるんですよ。とても綺麗なところです。」
あ「よし。次は妙香山で行こう。」
C「可愛いコの言うことにはすぐ同意するんですね。」

朝鮮三大名山の完成である。なんだか妙な達成感が全身を包んでいるような気もする。

C「あんでんだ同志、なんだか急に口数少なくなりましたね。」
あ「い、いやこれでアイスコーヒー三杯目だしなあ・・・」

7.太陽節コーヒー

C「ラスト行きましょうか?」
あ「じゃあ今日の日を記念して太陽節で行こう。」
C「偉大なお方のお名前なんかは?」
あ「そういう畏れ多いのはダメだと思うな。」

これが本日のとどめ、太陽節コーヒーである。我々のコーヒーバトルはここに完成を見た。てゆっかちょっと辛くなってきた。最初はなんのこっちゃと思っていたかもしれない接待員同志達だが、しまいにはこの真剣勝負に革命的に熱い視線を送り、アコーディオンを弾きながら応援歌でも歌い始めそうな気配だった。(てゆっか笑われていたような気もするが)。

あ「なんだかボーッとしてきた。」
C「お互い四杯目ですからね。」
あ「カフェインで酔っ払うとは思わなかった。」
C「革命的に飲みましたからね。」

冒頭のカフェロワイヤルから、平壌→開城→元山→金剛山→白頭山→妙香山と北朝鮮を旅した上に、太陽節まで飲み干してしまったあんでんだ&CAPTAIN。これでもう当分コーヒーは飲みたいと思わんだろう。

鄭・呉同志「ありがとうございました。夜は公演を見においでくださいね。」

あ「ありがとう。また来ます。」
C「今日はコーヒーで朝鮮旅行をしましたよ。」

あ「いや〜、楽しかった。でもこんな客初めてだったろうな。」
C「早くトイレ行きましょうよ。」

 灼熱のコーヒーバトルを終え、今家路に着こうとするあんでんだ&CAPTAIN。午後2時半の入店からすでに2時間半。時計は午後5時に迫っていた。しかしその時、二人は当日午後7時から北京海棠花3号店という新たなる敵が待ち受けていることを知る由もなかった(予約してただろってーの)。

 また大成山館は通称平壌カフェバーと呼ばれるだけあってカクテルも多数。この翌日、壮絶なるカクテルバトルが展開されたのみならずその翌日も行って結局三日連続通っちゃったと、後世の歴史家は語っている。

 今回コーヒーバトルにお付き合いいただいたCAPTAIN同志、そして情報をお寄せいただいた ぽちょんぼ特派員同志に感謝したい。また、我々の気まぐれにお付き合いいただいた大成山館の鄭・呉両同志にも感謝を捧げたい。(2006.4.15=太陽節訪問)

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